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幸せの靴(不二)


初めて自分で選んで買った靴なのだとなまえが笑った。


「綺麗な色だね」


「うん。シャンパンゴールドって言うのよ」

薄くてカサカサの紙にくるまれて箱に収まった綺麗な靴を抱えて彼女はとろけそうな笑みを浮かべた。
相当お気に入りの靴らしい。


「履かないのかい?」


「えっと、何だかもったいなくて…」


履かない方がもったいないと思うし、その靴を履いたなまえがみたいなと思って靴を手に取った。


「履かせてあげるよ」


「え?」


膝をついてそっと彼女の足を掴んだ。綺麗な丸い爪先に力が入ってピンと伸びた。そっと靴を履かせるとピッタリだ。


「似合うね」


「……ありがとう」


このままどこかに出かけようかと彼女の右手を取る。
頬を赤らめた彼女が僕をそっと見上げてはにかんだ。


「何だかお姫様になったみたい」


「それは間違ってないよ」


なまえは僕だけのお姫様なんだから。


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