冬よこい(渚)
あっちぃあっちぃ。
なんちゃらインパクトなるものがあってから地球は一年中夏だ。
なんたる迷惑。
その前はちゃんと涼しいとか寒いとか、所謂四季が日本にはあったらしい。
信じられないねぇ。
パタパタと下敷きでスカートの中に風を送っていると鈴木と相沢?に「見えるわドアホ!」と教室を追い出された。
「何やってんの?」
「あー、渚か。教室閉め出されたから今からエスケープ。ちゅーか暑い、引っ付くな引っ付くな」
いくら自称体温が低い少年の渚でも暑いもんは暑い。
「言いじゃんか、減らないし」
「暑さで私のヒットポイントが減ってる。ね、渚は何で夏ばっかりなのか分かる?」
「地球の地軸が狂ったから」
「模範解答ー……なの?」
「さぁ?どうでもいいよ。そんなことよりぎゅってしたい」
発汗して体液まみれの私にひっつきたいとか渚は本当に変わってるわ。
「そうだね、冬でも来たら一年中抱きしめてあげるよ渚」
そう言いながらじっとりした私の腕に絡む白くてサラサラの手を払った。
渚はキョトンとして手を払われた形のまま、私を見つめた。
「…何?」
「うん、分かった。ファーストと相談するよ」
「えーっと、渚?私に分かるように話せ?」
「うん、分かった。今からサードインパクト起こしてくるよ」
「ちょー待てえぇっ!タブレット!」
「いくらなまえでも怒るよ」
「ごめん噛んだだけだから。そんなことよりサードインパクトはやめてね?多分ミサトさんにめっちゃ怒られるから。たんこぶいっぱいになるから」
「分かった。やめる。だからぎゅってして」
廊下の真ん中でバッと両腕を広げる渚。
「頼むから碇たちの前で作ってる顔を私の前でも作っておくれよ…」
冬よこい、だけどサードインパクトは嫌です。
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