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自由の翼
06

頭から足の爪先まで綺麗に洗ったリヴァイは湯に浸かって体を温めると浴室を出た。タオルと一緒に置いてあったのは糊のきいた白いワイシャツだった。頭から被ると襟が肩からずり落ちそうで裾も膝から下を隠している。女物ではない。恐らく男物のワイシャツだ。

ぶかぶかなワイシャツ一枚だけを着てリヴァイは脱衣場を出る。するとすぐそこは執務室となっていた。
窓を背にする形で執務机が置かれていて金色の髪の男が座っていた。そしてその向かいにあの女がいて尻を半分だけ乗せ、軽く座っている。


「やあ。湯加減は大丈夫だったかな」


男はリヴァイに気付いて柔らかく微笑む。女と比べてずいぶん愛想がいい。


「私はエルヴィン・スミスだ。イザラに手ひどくやられたようだね」


蹴られたせいで腫れた顔を見て苦笑された。エルヴィンが言ったイザラという名前に首を傾げるとエルヴィンは呆れの眼差しを向かいの人物に向けた。


「何だ。イザラ。まだ自分の名前も言っていないのか」

「必要あるか?」

「これからはな」


エルヴィンに諭されてめんどくさそうにしながらもイザラはリヴァイを見た。


「イザラ・フェアクロウだ。今日からお前の身柄を引き受ける事になった」

「……は?」


呆けたリヴァイはエルヴィンとイザラを交互に見比べた。エルヴィンは仕方なさそうな苦笑を浮かべ、イザラはリヴァイが浴室から出てきた時のスタイルと変わらない。


「オレを審議所に突き出さないのか」


リヴァイは罪人だ。人を傷つけて彼らの荷物を盗んだのだ。極刑とまではいかないがそれ相応の報いを受けるのは当然だ。


「事情が変わったんだ。言っておくがお前に拒否権はない」


尻を上げたイザラはリヴァイの元まで近付くと高圧的に見下ろした。


「今日から私がお前の飼い主様だ。わかったな。クソガキ」


この女に飼われるくらいなら牢獄の方が幾分もマシだと思った。






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あきゅろす。
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