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自由の翼
01

雨続きだった空にようやく太陽が顔を出したのは3日前くらいの事だ。それからはずっと清々しい晴天ばかりで家の窓からベッドシーツが干されているのを目にするようになった。

そんな麗らかな日和に何故、このような掃き溜めに来なければならないのか。辟易しそうになる。イザラ・フェアクロウが今、立っている場所は最も治安が最悪な地下街の入り口である。一歩、足を踏み入れた先に待ち受けるのは暗澹とした闇のみ。


「こんな所に兵士がいるとは驚きだな」

「姉ちゃん、そんなとこにいたら悪い奴に攫われちまうよ。あんた東洋人だろ?尚更、危険だ」


汚れや穴が目立つ服を着た2人の男が近寄ってくる。顔は浅黒く日焼けしていて肌は荒れている。近くに寄られただけで鼻を突く酸っぱい匂いが鼻腔を刺激して不快感が込み上げる。イザラは鼻白むとハンカチを鼻と口元にあてた。


「おいおい。そんな露骨にする事ねぇだろ」

「寄るな」


わざとらしく嘆く素振りをする2人組に忠告する。しかしハンカチをあてているせいで今一つ聞こえなかったらしい。2人は耳の裏に手のひらをあててずいっと身を乗り出してきた。


「ブーツは新しいのがいるな」


膝を曲げてブーツを見る。大した汚れはないが男2人を蹴ったり地下街に足を踏み入れるのだから思い切って新調すべきだろう。上げていた足を戻すと足元に男が倒れている。どちらも白目を剥いて完全に気絶している。イザラは2人を放置して地下街に入った。






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