123.嵐の前の静けさ **
私はユニット内に向かおうとしていた足を止めて、再び上空を見上げた。
「名前さん?」
「どうしたんだ??」
それに気付いた沢田さんと山本さんが、私を振り返ろうとした次の瞬間。
「き、消えた!!!」
破壊した筈の転送システムが、姿を消したのだ。
「どう言う事だ!?」
「白蘭の元に戻ったな」
「それでは――っ」
転送システムを使い、真6弔花を従えた白蘭が、この町に来てしまう!!
「どどどどうしよう!!」
事の重大性を理解した沢田さんが、その場に座り込み、頭を抱える。他の仲間達の間にも、言い様の無い、緊張感が漂い始めた、その時だった。
「皆さーん。無事に帰ったと言う事は、チョイスに勝ったんですね!」
この場に似付かわしくない、それはそれは陽気な声が聞こえて来たのは。
振り返ると、そこには地面からニョキリと顔を出した草壁さんの姿が。
私達が戻って来た事を、白蘭に勝利したと勘違いした草壁さんが「祝杯をあげましょう!」と一人盛り上がる中、それ所ではない事を沢田さんが伝えた結果、彼は戸惑いながらも、こう口にする。
「事情は分かりませんが……では、ひとまず、地下のボンゴレアジトに戻られては如何でしょう」
「ボンゴレアジト?」
「此処からもアジトに繋がっています」
そこで私はハッとする。そうか。この時代の雲雀さんのアジトは、協定により、ボンゴレアジトと繋がっているのだった。
ボンゴレのアジトなら入江さんの為の医療施設も整っているし、第一身を隠すのに最適の場所。
誰もが安堵の表情を浮かべる中、何故か一人だけ、違う方向に向かって踵(きびす)を返す人物が。
「恭さん、どちらへ!?」
その人物である雲雀さんを呼び止めた草壁さんの声に、全員が振り返る。
「…群れるのは嫌いだからね」
対する雲雀さんは、それだけ告げると、颯爽と姿を消してしまって…。
「私も行きます!!」
雲雀さんの後を追いかけ、草壁さんも走り出す。
「く、草壁さん!?」
「俺も行くぜ」
「ディーノさんも!!??」
「家庭教師としてアイツを放って置く訳には行かないからな。――後、名前、お前も来てくれ」
「ええ!!名前さんも!?」
[←][→]
無料HPエムペ!
|