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失くした愛は今ここに[女主Ver.]
スザク→ヒロイン←ルルーシュ。
原作『土の味』をギャグ風味にハッピーエンドにしてみました。



「何を…」
「俺に出来る事はもうこれしかない…。」


そう言ってルルーシュは……





腰に手をあてて

踏 ん 反 り が え っ た !





あれ、おかしいよね?

あの台詞と状況からして、ここは土下座とかじゃないの?

え、僕、間違えてないよね?


「日本のやり方は不思議なんだな、教えてもらうまで頭を下げるものだと思っていたが。」


あ、やっぱり土下座するつもりだったんだ。

ちょっとホッとした……というか、教えてもらって?

誰に? というか、間違えてるから!


「あの、ルルーシュ? それを教えたのって一体だれ…。」

「あぁ、それは」
「私よ。」

「…っ……!」


僕の質問に答えるルルーシュの言葉を遮って現れた人物に僕は目を見開いた。


「ライラ…っ!!」


それは誰より焦がれていた相手。

学園祭の日に突如、姿を消したライラだった。


ユフィを失ったあの日からライラが側にいてくれたら、と何度思ったかわからない。

そのライラが目の前にいる。

思わず抱き着きそうになった僕を止めたのは、言うまでもなくルルーシュだった。


「ライラ、来るなと言っただろう?」

「ごめんなさい。どうしても気になってしまって。」


何、その手……。

さっきまで踏ん反り返っていたルルーシュはいつの間にかライラの側に行き、その頬に片手を触れていた。

うわぁ、凄いムカつく。
僕、今、空気扱いされてるよね?

いや、ルルーシュは見せつけてるのかも。

それが人にものを頼もうとする人のやる事……

って、そうだよ!

僕がここに来たのはルルーシュに色々聞く為なんだ。

でも、ユフィの事とか聞く前に一つ質問しても罰は当たらないよね?


「……ねぇ、ルルーシュ。さっきの仕草は何?
ライラから教えてもらったって言ったような気がするんだけど?」


僕の質問に二人の世界から帰って来た(本当にムカつくんだけど)、ライラとルルーシュの瞳が僕を映す。


「あぁ、ライラに教わったんだ。
日本では土下座以上を表す時に使うらしいな。」


いや、間違ってるから、それ!

どこの国に頭を下げる以上の行為として踏ん反り返る風習があると言うんだい!?


「……ルルーシュ、君は間違ってるよ。」

「何…?」

「踏ん反り返る事の意味は日本もブリタニアも変わらないからね。」

「何だとっ!?」


いや、そんな大袈裟に驚かれても困るんだけど。


あぁ…僕は何をしにここに来たんだっけ……。


思わず遠くを見つめてしまう。


「ライラ! どういう事だ…?」

「スザクの言ってる事が正しいよ。
踏ん反り返るのは日本でも踏ん反り返る以外の何ものでもないから。」


にっこり。
まさにそういった笑顔だと思う。

うーん、こういうとき特だよね、美人って。


「何故そんな事を…。」


信じられないといった表情をするルルーシュに笑顔を残してライラは僕に近付いて来た。


「スザクはこういう所は抜けているから。」


そう言ってライラが僕の服から小さな装置のような物を取る。

そして、すぅって息を吸うと


「あーーーっ!!」


思いっきり叫んだ。

近くにいた僕は耳がキーンとするくらい、声が通る分、凄い声量だ。


「聞こえてるかわからないけど……。
そう簡単に貴方たちの手中で踊らされると思ったら大間違い、甘く見ないで。」


スッキリした顔だけど、いつもより低いトーンで言ってからライラは装置を握り潰……そうと頑張ってるみたいだけど非力だから無理だよ。


「むぅ〜〜っっ!」


今度は踏んづけてるけど、君は体重も軽いから無理だって!


「ライラ、貸して。壊せば良いの?」


コクコクと頷くのを確かめてから握り潰した。


「スザク、すご〜い!」


キラキラした瞳で見られると照れるな。


「でも、これって何?」

「盗聴器と発信機。」


聞いた僕にさらっと答えるライラ。


あれ、今とても不穏な単語を聞いたような?


しかも、ルルーシュは納得したように腕を組んでるし。

僕、理解出来てないんだけど。
盗聴器に発信機?


「気付かなかったみたいけど、スザクはずっとつけられてたんだよ。
多分、ゼロはルルーシュだと目星をつけての行動だと思う。」


理解出来てない僕に片手を腰にあて少々呆れた様子で話すライラ。


「そんな…。」

「多分だけど、スザクとの会話を盗聴して自分たちに都合の良いとこだけ黒の騎士団にでも聞かそうとしたんじゃないかな?」


ショックを受ける僕にライラは追い撃ちをかけるように話す。

僕はまた友達を売る所だったって事?


「まぁ、今回はスザクの意思じゃないからね。」

「……そうなのか…?」


疑わしげなルルーシュ(まぁ当たり前だよね)にライラは優しく微笑みかける。


「うん、実際、軍人が何人もいたし。
セブンの命だと言ったら攻撃してきたもん。スザクの意思で動いてないのは確かだよ。」


うん、確かにそうだけど。
その何人もの軍人はどうなったんだろう……。

今ここには僕たちしかいないし、考えない方が良いのかもしれない。


「そうか。
すまない、スザク。疑ってしまって。」


バツの悪そうな表情で言うルルーシュに思わず首を横に振った。


「気にしてないよ。君が疑うのは当然だから。」


何しろ僕には前科がある、疑うのは当然だ。




……ごめん、ユフィ──。



今なら自分のした行動が、何より君を悲しませるものだったと解るよ。




「今からでも遅くはないと思うよ。」

「え…?」
「は…?」


ライラの突然の言葉に僕とルルーシュは間抜けな声を出した。


「一人では出来ない事も三人なら何とかなるかもしれないでしょう?」


それは確信に似た言い方。


まだ君は、汚れた僕たちの、僕の手をとってくれるの?


言葉にならない問いにライラの柔らかな微笑みが返ってくる。


あぁ…、変わらないね。

時々見せる、滅多と表情の変わらない君の優しい笑顔。


間違えてしまったなら、やり直せば良い。

そう思わせる君の笑顔。


「……ルルーシュ。一つだけ答えてくれないか?
君は…、最初からユフィを利用して、殺すつもりだった?」

「…っ……。」


瞬間、悲しみに歪むルルーシュの表情。

それだけで十分だ。


そうだ、最後までユフィはルルーシュがゼロだと言わなかった。




──決してゼロを恨みながら逝った訳じゃない……。





「俺は…」
「許す事は出来ない。
でも、やり直す事は出来ると思う。」


そう、今度は僕がルルーシュに手を差し出す番だ。


汚れてしまった僕に躊躇わずに手を差し延べてくれたユフィと、ライラの為に。


「ルルーシュ。」


そっとライラがルルーシュの片手を握る。


ハッとしたようにライラを見るルルーシュの表情は見た事がないほど頼りなさげで。


やっぱり、ちょっと腹が立った。


そういう表情が出来る程、信頼する仲を見せ付けられてるみたいで悔しい。


「ライラ、スザク、力を、貸してくれないか?」


躊躇いがちに問われた言葉にライラは微笑みながら頷き、ルルーシュと僕の手を握る。


僕はライラに同意するように一つ頷いてみせた。


「……あり…っ、がとう…」


泣きそうなルルーシュの声。
ライラがそっと片手でルルーシュを抱きしめる。

そして、僕の方を向き


「スザク、ありがとう。」


そう短く言った。


ライラのその表情は、今までで一番の笑顔で

僕は自分の選択が間違ってないと確信出来た。





まだ遅くはないから



間違えてしまったなら、やり直そう。




失ったものは、かえっては来ないけれど



もう二度と大切なものを失わないように。




もう誰も大切なものを失わなくて済むように。





他の誰でもない、君が教えてくれた。

君がいたから、気付けたんだ。

──大切で、僕の愛しい人。



間違えてしまった分、スタートは遅れてしまったけど
諦めるつもりはないよ。


ライラを好きなのはルルーシュだけじゃないんだ。



僕はルルーシュに宣戦布告も兼ねて、ライラの頬にキスを一つ落とした。


僕を射殺さんばかりのルルーシュの視線を感じながらも、可愛く紅く染まったライラの顔を見て、まだ望みはあると笑みを零した。





さあ、始めよう──


幸せな未来を作る為の戦いを。




失くしたはずの愛は、確かに今ここにある。



2009.3.14.初出
2018.07.09.再掲載

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