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幸せな時間[火原(コルダ)]
ゲーム主人公設定。
セレクション中。





偶然、必然、運命──



友情、恋、愛──



よく似ているものだけど、絶対的な違いがあって



だけど、どう違うのかなんて、おれにはよく分からない。




ただ、いつもきみと会いたいと思う。



きみが笑うと嬉しい

きみの演奏をもっと聴きたい

きみといっぱい話したい




いつもと同じようで少しだけ違う……きみといると鼓動が早くなる。




この感情が何なのかわからなくて、今までにないくらいたくさん悩んだ。




楽しいだけじゃない想いに落ち込んだりもして。




やっとで気付いた、自分の気持ち。




演奏だけじゃない──きみ自身が好きなんだ。




何気ない時間がとても幸せで、ずっと君の隣にいたいって思う。




このコンクールが終わったら、勇気を出してきみに伝えたいな。













「ライちゃん!」


エントランスできみを見つけておれは走り寄る。


「火原先輩、こんにちは。」


笑顔で挨拶してくれるライちゃんが凄く可愛い。


「ライちゃんはこれからお昼?
ってあれ……それ、お弁当…?」


ライちゃんを見ると二個のお弁当を腕に抱えていた。

ライちゃんとは何度かお昼を一緒に食べたけど、そんなに量は食べなかったはず。

じゃあ、二個あるお弁当の意味は?

心の中がもやもやしだす。


「あ、これですか?」


先の答えを聞きたくないような気がするのに聞かずにはいられない。


「あ! そうだ。火原先輩、お昼まだですよね?」

「え……う、うん?」


いきなりの質問に訳がわからないまま頷くとライちゃんはパッと笑顔になる。


「良かった。実は今日、調理実習があったんですけど……忘れててお弁当持ってきちゃったんですよ。」


ちょっと恥ずかしそうに頬を掻きながら話すライちゃんの言葉に安心する。

誰かの為だったら立ち直れなかったかも、なんて思いながらライちゃんの手元を見る。


「二つも食べれないので火原先輩、良かったら食べませんか?」


首を傾げて聞いてくるライちゃんに思わず笑顔になる。


「…良いの!?
それってライちゃんの手作りだよね?」

「はい。あ、でも自信ないので火原先輩には家から持ってきた方を…。」

「ううん! おれ、ライちゃんの作った方が良いな!」

「そ、そうですか?
では、一緒に食べませんか?
感想とか聞きたいですし。」

「うん、もちろんだよ!」


思ってもない偶然におれは感謝した。

いや、これって運命かも! なんて舞い上がっちゃいそう。


「それじゃあ、天気も良いし屋上で食べませんか?」

「うん、そうしようか!」


おれとライちゃんは飲み物を買って屋上に上がった。

屋上につくとポカポカ太陽が何とも気持ち良い。


「良い天気ですね。お昼食べたら眠くなっちゃいそう。」


隣にいるライちゃんが空を仰ぎながら楽しげに笑う。

何気ないけど、すっごく幸せな時間だな〜って思う。


「ライちゃん、ベンチに座って食べようよ。」

「あ、はい。それじゃあ、お弁当どうぞ。
一応、味見はしたので大丈夫だと思うんですけど……。」


ライちゃんが自信なさげにお弁当を渡してくれる。

不安そうに見つめてくる仕草が可愛い。


「火原先輩…?」

「あ! ご、ごめん。ありがとう。」


ついライちゃんが可愛くて、お弁当を受け取ったまま固まっちゃった。

受け取った可愛らしい包みを開けると色とりどりのおかずがとても美味しそうに並んでいる。

逸る気持ちを抑えながら両手を合わせていただきますをする。


「じゃあ、いただきます!」


色々な味のカラフルな小さめのおむすびにタコさんウインナー、プチオムレツにハンバーグ、その他もろもろ。

見た目から楽しめるお弁当は食べるのが少し勿体なかったけど。


「ど、どうですか?」

「……ん〜! 美味い!
ライちゃんって料理上手なんだね!」


お弁当は文句なしに美味しくて、頬が自然と緩む。


「良かった。
じゃあ、私も…いただきます。」


おれがパクパク食べるのを見ていたライちゃんは安心したように微笑むと自分もお弁当を広げて食べ始めた。

ポカポカ陽気に隣にはきみがいて、しかもライちゃんお手製のお弁当付き。

すごく幸せな時間が流れる。

おれはあっという間にお弁当を食べ終えて、ふとライちゃんのお弁当を覗くととてもシンプルなお弁当だった。

ライちゃんお手製の凝ったお弁当と全然違う。


「ねぇ、ライちゃんって料理好きなの?」


おれは疑問に思った事を口にしてみる。


「え!? えっと、何でそう思うんですか?」


驚いて目を泳がせてるライちゃんが不思議で首を傾げる。


「だって、これ凄く凝ってるし美味しいし…!」


感動混じりに空になったお弁当を指しながら言う。


「あ〜…じ、実はお料理苦手なんです。」


苦笑気味に言うライちゃんに驚く。


「え? こんなにうまいのに!?」

「それは例外なんですよ。」

「例外って……どういう事?」


続け様に質問をするとライちゃんは深い溜め息をついてから笑った。


「…白状しますとね……今日の調理実習の為に猛練習したんです。」

「そうなの?
何で…って聞いて良いのかな?」

「…ぃ……から…。」

「え?」


小さな声が聞こえず俯いた顔を覗き込むように見るとライちゃんは頬を紅く染めてた。


「…火原先輩に食べてもらいたいなって思って……頑張ったんです。」

「え……ほ、本当っ!?」


思わぬ告白に跳びはねたいくらい嬉しくなる。


「本当ですよ。
じゃなかったらお弁当があるのに購買部なんて行きません。」


赤くなった頬を隠すように横を向くライちゃんがすっごく可愛くて。


「ありがとう!」


気付いたらおれは思わずライちゃんに抱きついてた。


「きゃっ…せ、先輩!?」


ライちゃんは驚いたものの嫌がったり離れようとはしない。

それがまた嬉しくて、おれはぎゅーってライちゃんを抱きしめた。


「すっごく嬉しい!
ね、香穂ちゃん…おれ、期待しても良いのかな?」

「火原先輩…えっと……はい。」


おれの腕の中で静かに頷いたライちゃんのおでこに軽くキスをした。

ライちゃんはさらに照れちゃってお弁当のタコさんにも負けないくらい真っ赤だ。


「ライちゃん、最終セレクションが終わったら待ち合わせしよう。
この屋上で……。」

「…はい!」


この時のきみの笑顔をおれはずっと忘れないと思う。

最終セレクションの後に聴こえた音楽と

おれの言葉に照れたように微笑んで“愛のあいさつ”を奏でてくれたきみの姿と共に──。





初出2007.3.21.
再掲載2021.1.1.

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