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心繋ぎ[八田(学園K)]
学園Kの八田美咲夢。
学園Kの設定のまま。ヒロインは特殊能力持ち。
転入初日に力を使ったヒロインは周りの反応が怖くて逃げ帰ろうとした過去がある。
ヒロイン名は出てこず……。





最初の出会いは最悪で


お互いに近付く事はないと思った。


正直、見た目は可愛いし仲良くなりたくないワケじゃねぇけど


オレはアイツみたいなのと話すのはニガテだし


アイツだってオレの事を怖がってるから


やっぱり仲良くはなれないんだろう。


十束さん達と仲良くしてるのを見るとちょっと面白くねぇ、なんて


全然思ってないって、強がって


気にしてないフリをした。


心ってヤツが他人に見えなくて良かったかもしれねぇな。












「シャーペン忘れた」


朝、珍しく余裕で教室についたと思ったら鞄に筆箱が入ってなかった。


「くくっ、ダセェ。」


近くで聞いてたらしいサルが笑いやがった。


「うるせえ、サル!
おい鎌本、シャーペン貸せ。」


いちおうサルに怒鳴ってから鎌本に言う。


「俺だって一本しか持ってないッスよ。」


使えねー……。


どうすっかな、とか呟きながら頭を掻いてたら声がして振り返る。


「あ、あの…!」


あの転入生だ。

初日にオレが怒鳴ったせいでビビって避けられてたのに。

驚いて目を瞬かせてるとおずおずとシャーペンを差し出してきた。


「これ、どうぞ。
あの……私が持ってる中で一番シンプルだから。」


渡されたシャーペンは確かにシンプルで使いやすそうだ。

何より持ってても恥ずかしくねぇし。


「借りて良いのか?」


受け取っといて今さらな気もするけど、聞いてみる。


「うん。消しゴムも付いてるから使いやすいと思う。」


コクンと頷いて言うのが可愛い……なんて思ってねぇし!

焦って水色のシャーペンを見ると確かに頭に消しゴムがついてた。


「おー、便利だな。
サンキュ、借りるぜ。」


返事の代わりに微笑んだのが可愛い……じゃなくてっ。

オレに向かって笑ったの、何気に初めてじゃね?


「…なんだ、笑えんじゃん。」

「八田さん、失礼ッスよ!」


ポツリと呟いた言葉に鎌本が反応した。

そう思ったんだから仕方ねーじゃん。


「お礼…言いそびれてたから。
ありがとう、叱ってくれて。」

「は? 怒鳴られて礼って……。」


呆気にとられてると苦笑気味に続ける。


「可笑しいかもしれないけど。
でも私、八田くんに言われて気付いたの。」


転入初日に力を使ってしまって混乱してたんだっけか。


『怖いだとか、悪いだとかそんなんどうだって良いだろ!
あいつの言葉聞けよ、お前に感謝してんじゃねぇーか!!』


言ったな、そんな事。

興奮して、つい怒鳴っちまった。


「怖がってばかりで周りが見えてなかったの。
ちゃんと“私”を見てくれる人達がいる事に気付けた。」


八田くんのおかげ、って笑う。

そんな素直に感謝されるなんて思わなかった。

避けられて終わるんだって思ってたし。


「てっきりオレを怖がってると…。」


知らず出た言葉に反応して、また笑う。


「怖くなかった訳じゃないよ。
でも、ちゃんとわかったから。八田くんが私を心配してくれたんだって。」


「…べつに、そんなんじゃねーけど。
まあ、オマエがそう思うなら良いんじゃね。」


照れくさくて変な言い方になった、オレはバカか。


「ふふ。」

「な、なんで笑うんだよ?」

「何でもない。
これから、改めてよろしくね?」


誤魔化された気がするけど、差し出された手を自然と握った。


「おう、よろしく。」


女はニガテで話したり、ましてや触れたりなんて絶対ないと思ってたけど

握った手の温もりは心地よくて。

やっぱり他人に心が見えなくて良かったと思った。





──いつか、オレとオマエの心が結ばれたら良いな──。




初出2020.7.22.

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