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変わる世界[ギアス]
ロスカラ設定の女主人公。
第一期stage.25でルルーシュとスザクが銃を向け合った直後に現れた主人公がとった行動は…。





あいつに理由を聞いたら即答するだろう。


これが最善だから──と。


だけど、俺はどうしても納得が出来なかった。


そうだろう?


同じ力を持ちながら何故あいつだけが、こんな目に合わなければならない?




俺は……好きだったんだ。




だから納得出来ない、したくない。


けど、あいつは俺の言葉を頑なに拒否して


自分自身を守ることより俺たちを優先するから。



ただ、君たちが大事だから
君が好きだから
なんて言うから


俺は黙らざるをえない。



お前は俺たちを守るためなら自分を犠牲にすることを躊躇わないから。


俺は誰より、何よりお前を失う事が怖かったんだ。







「…ライラ? 早いな、もう起きてたのか。」


朝、リビングに行けば既に起きていたライラが一人、本を読んでいた。


俺の声に振り返ったライラは微笑みを浮かべて一度緩く首を傾げてから戻す。


これは俺に対する『おはよう』の挨拶。


「あぁ、おはよう。
今、朝食を作るから待っていろ。」


ライラは俺の言葉にコクンと頷いてからまた本に視線を戻した。


キッキンに行きながら、その秀麗な横顔をちらりと見やる。

今のライラが喋る事はない。

否、声を発する事が出来ないんだ。


そう……あの日から──。







「ルルーーーーーシュっ!!!」
「スザーーーーークっ!!!」



あの日、神根島でスザクと銃を向け合った瞬間


「ルルーシュ…スザク……。」

「「っ!?」」


ライラは俺たちの前に姿を現した。


突如、学園からも騎士団からも姿を消したライラを目にして

俺は、また逢えた……と歓喜に震えた。


ライラを探していたのは同じだったらしく、スザクも「ライラ…っ」と震える声で呟いていた。


だが、そのライラの俺たちを見つめる瞳は哀しそうで

俺たちは未だ互いに銃を向け合っている事に気付く。


視線がライラからスザクへと、感情が歓喜から憎悪へと移った瞬間──



「ルルーシュ、ギアスの力のせいで孤独に……不幸にならないで。
みんな、ルルーシュを孤独に、不幸にしないでいて。」


そう、ライラが呟いた声が聞こえた。


ハッとしてライラを見た俺の目に映った赤く光る瞳。


ライラもギアス能力を持っていたのだと悟る前に、その言葉は神根島を通して世界中へと放たれた。


ギアスがかかった俺たちは銃を持つ手を力無く落とし、呆気にとられていた。


そんな俺たちに構わずライラは俺たちに微笑みを向ける。


「ルルーシュ、安心して。ナナリーは無事よ、今は咲世子さんと一緒にいる。
スザク……。ユフィは誰も恨んでいなかった、あなたには彼女の意志を受け継いでほしいの。」

「…っ……。」
「…っ……!」


ライラの言葉に俺は安堵し、スザクは騎士証を握りしめ……泣いていた。



そして、次の瞬間──ライラは自らの喉に刃を向けた。


止める暇もなく紅く染まるライラを見て、俺もスザクも銃を投げ捨ててライラへと走る。


俺たちの腕に力なく倒れたライラは声なき声で『良かった……あなた達が殺しあわなくて』と微笑んだ。



その後、俺とスザクはライラを助ける為に敵も味方も関係なく動いた。




それから、俺はゼロとして行政特区日本をスザクと共に成功させ

今は他国も含めて、優しい世界を作る為の活動を行っている。


もう誰の血も流れない戦い。


その戦いにはナナリーもいて、ナナリーは今までの戦いで傷付いた人たちの心をケアをしている。


驚いた事に自らの役目を得たナナリーは目が見えるようになり、とても明るくなった。


そんなナナリーの説得もあったのか、今ではコーネリアもユフィの意志を継いで共に活動している。


ライラが連れて来た、俺たちと同じくギアスに翻弄されたロロという少年も情報員として立派な戦力だ。


黒の騎士団にもゼロ、つまり俺が皇族だという事を打ち明けた。


受け入れられると思わなかったのだが、意外にアッサリと受け入れられたのは恐らくライラのギアスのお陰だろう。


団員たちは主に皇族に批判を持つ者たちの説得を担っている。




そうやって少しずつ


敵しかいなかった世界は


信頼しあえる仲間がいる世界へと


皆が傷付け合っていた残酷な世界は


助け合い相手を思いやる優しい世界へと


俺の周りも──世界すらも変化している。



少しずつだけど、確実に……


世界は優しくなっていく。



これはライラの起こした奇跡。



「奇跡ではなく賭けだろう。
ギアスの代償にギアスだなんて私でも思いつかなかったさ。」


C.C.はそう言っていた。


「どういう意味だ?」と聞けば、ライラのギアスは声を媒体にするという事を告げられた。


つまり──あの時、ライラが自らの喉に刃を向けたのは死ぬ為ではなく、喉を潰す為。


ギアスの代償としてギアスを差し出したんだ。



本当に無謀な賭け、下手をしたら死んでいた。


だが、ライラはそれも覚悟の上だったんだろう。



「良かったな、愛されてて。まあ……私もあいつには感謝しているがな。」


言いながら意味深に笑うC.C.に俺は複雑な想いだった。



俺は……ライラの声が好きだったんだ。


もう二度と聞くことは叶わないライラの声。


多分、それが俺に与えられた唯一の罰──。


何て、軽い罰だろうか……。


ギアスを得て負うはずだった業をライラが全て肩代わりしてくれたから。



俺はお前に何をしてやれるだろう?


誰より何より大切なお前に。



今はまだわからない。


でも、ただ一つわかる事。



──お前を愛している──



だから絶対に俺はお前を手放す気はないよ。


今はまだお前の優しさに甘えて、ただ傍にいさてくれ。


今度は、今度こそライラを守りたいから。




「ライラ、愛してる。」


声を失くしたライラは俺に優しく微笑んだ。





世界は今日も優しく変わっていく──。




小説





2009.3.10.初出
2020.4.19.再掲載

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