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愛しい天使[ランディ(アンジェ)]
女王ヒロイン。




聖獣の宇宙――君が統べる宇宙、俺がいる場所と違う次元の世界。

俺がいる神鳥の宇宙と交流はあるから、こうして公務があれば聖獣の宇宙に来る事は出来る。

けど、君が俺を『ランディ様』と呼んで俺が君の名を呼ぶ事はない。

君はこの聖獣の宇宙の女王陛下で、俺は神鳥の守護聖だから。

本当はずっと前から…君が女王候補でなくなった時から、俺は君を『陛下』と呼ばなきゃいけなかったのに

君の優しさに甘えて、ずっと名前で呼んでた。

延ばした有効期限はあっという間に過ぎて

もう簡単に君に逢う事すら難しい。


「はは、情けないな…いまさら後悔するなんて、さ。」


片手で目を覆いながら呟いた言葉が風に溶ける。

優しいこの風は俺じゃない…ユーイという“君の守護聖”が司る力。

何で俺は君の守護聖じゃなかったのだろう…?

ユーイに嫉妬してしまう自分が嫌になりかけた瞬間


「ランディ様!」


愛しい声が聞こえた。


「……………。」


思わず振り返った俺は驚いて、声にならなくて、ただ俺の視界を笑顔の君が支配してた。



「今日はランディ様がいらしてたんですね。
逢えて嬉しいです。」


愛しい君が確かに目の前にいる。

あの頃と全然変わらない口調で俺に話し掛けてくれた。


「俺も嬉しいよ。
立候補したかいがあった。」

「…? 立候補…ですか?」

「あっ! いや、違っ…違わないんだけど…違うんだ!」


つい本音を口にしてしまって慌てる俺を見て君が小さく笑う。

あの頃よりもっと綺麗になったけど、やっぱり笑顔は君のままで。


「…私が神鳥の宇宙にいた時みたいですね。」


俺が思っていた事を君が呟く。

その表情はどこか寂しそうに見えた。


「懐かしいな。」


俺は同調するように呟いた。

俺も寂しげな顔をしているんだろうか。


「ランディ様。私、ずっと変わらないですよ。」

「え…?」


君の言葉の意味がわからなくて首を傾げた俺の唇に柔らかい感触。

それが君の唇だと理解した時には俺は君を抱きしめていた。


「…どんなに時が経ってもランディ様を想う気持ちはずっと変わらないです。
だって違う次元にいても好きなんですもの。」


変わらない瞳で俺を見つめながら紡がれた言葉。

優しくて強い君が愛しくてたまらない。


「俺も変わらないよ。きっとずっと君が好きだ。」

「はい。」


それから俺は公務や休みを使ってちょくちょく聖獣の宇宙を訪れ

気を利かしてくれたレイチェルがくれた君の休憩時間にデートをするようになった。


普通よりは一緒にいられる時間は少ないけど

それでも宇宙で1番君を愛してるよ。


君は 俺だけの 愛しい天使。




200?.初出
2020.4.19.再掲載

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