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パラレル世界"騎士"[ギアス]
ルルーシュ、皇族のままのパラレル。
原作の記憶ありのヒロイン。ロスカラ主人公っぽい女主人公。
ルルーシュ目線。




初めて会ったときから惹かれた。





僕の母上はきれいな人で、他の兄姉妹たちもきれいだったから、きれいな人なんて見慣れてた。





でも、初めて彼女を見たとき──





時が、止まった気がしたんだ。





夜空に輝く月みたいな髪に深い海のような瞳。





すごく、きれいだと思った。





それに彼女は他の人たちと違って僕にひざまづかなかったんだ。





上でも下でもなく、同じ目の高さで真っ直ぐ見つめた強い瞳。





僕に触れた優しい手。





初めて、心から守られた気がした。





それは初めて、僕の中で“特別”が生まれた瞬間。












ある日、それは一瞬の出来事だった。


テロリストに見せ掛けた暗殺がマリアンヌを襲った。


側にいた娘のナナリーを庇ってマリアンヌは冷たくなり、母に庇われたナナリーも足を撃たれ、恐怖に声も出せずに震えた。


まだ幼いルルーシュ達を襲ったのは、絶望。


箱庭だったけれど、それでも幸せと言えた日々はもうないのだと。


ルルーシュは幼い頭で悟った。


ナナリーは足の自由を奪われ、ショックから視力を失った。


そんな妹を自分が守らなければとルルーシュは震える足で気丈に立ち上がった。


向かったのはこのブリタニアと呼ばれる大国の皇帝でマリアンヌの夫、つまり自分たちの父親の元。


謁見の間にルルーシュが現れればヒソヒソと聞こえる心ない言葉。


耳を塞ぎたくなる状況で、それでもルルーシュは背筋を伸ばし、真っ直ぐ皇帝へと視線を向けた。



「父上、母が身罷りました。」


「だから、どうした?」



幼いながらに必死で立つルルーシュに父である皇帝は非情な言葉をぶつける。



「だから、どうした…? 父上は母上の夫ですよね!?
ナナリーのお見舞いだって…っ。」


「弱者に用はない!
お前はそんな事で皇帝に謁見を求めたのか?」


「ひ…っ。」



父と呼べる情など感じない、冷たい威圧感に満ちた視線。


ルルーシュは恐怖に後退りした。


その刹那──謁見の間の扉が勢いよく開けられた。



「何を…やってるのかしら、皇帝陛下?」



張り上げた訳でもないのに謁見の間に響き渡る澄んだ声。



「……!」



驚いて振り返ったルルーシュの目に映った銀色に輝く髪。


靴音を響かせて優雅に近付いて来る影は少しずつ鮮明になり、その美しさに皆が息を飲んだ。


美形揃いの皇族と並んでも見劣りしない端正な顔立ち。


スラリとしたしなやかな綺麗なシルエットのプロポーションに癖のある銀髪と蒼い瞳が映える。


幼さを少しだけ残した少女はルルーシュの横で立ち止まった。



「…っ……。」



途端にルルーシュは恐怖で身を強張らせた。


だが、すぐに感じた心地良い少し低めの体温。



「…?」



不思議に思い、顔をあげたルルーシュの目に映ったのは優しい瞳。



「よく頑張ったね、もう大丈夫だから。」


「……ぅ…うぇ…っ。」


「うん、怖かったでしょう。」



くしゃりと顔を歪めて小さく声を上げたルルーシュを少女が優しく抱きしめる。



「まったく……子供を怖がらせるなんて、いいご身分ですね?」



ルルーシュを抱き上げるとその視線を皇帝へと向け、先程より低い声で放つ。


ルルーシュを撫でていた彼女と同じだとは思えない冷たい視線。


皇帝とはまた違う静かな威圧感を感じ、謁見の間は静まり返った。



「こ、これはだな……。」



先ほどとは打って変わって狼狽える皇帝。



「皇帝が言い訳なんてするんじゃないわよ。
さっさとこの子に謝らないとどうなるか分かってますよね?」



にっこりと、それは綺麗な笑顔なのだが、目が笑っていない。


皇帝は顔を引き攣らせワタワタと今まで見せた事のない動きをする。



「わ、わかっておる!
ル…、ルルーシュ。ナナリーの見舞いには後ほど行こう。」


「…本当ですか……?」



銀髪の彼女の腕に抱かれながらパッと顔を上げ反応したルルーシュに皇帝はコクコクと頷く。



「ああ、本当だ。お前達の身の安全も儂が保証しよう。」



言いながら銀髪の彼女を伺い見れば、もう冷たさはなく。



「よろしい。
それじゃあ、私は先に行っているから。
約束、破らないでね。」



そう残してルルーシュを抱えたまま謁見の間を後にした銀髪の少女の背を貴族達はポカンとした顔で見つめ続けた。


泣く子も黙るブリタニア皇帝を笑顔で脅迫する彼女は一体何者なのか。



その正体を知る者は極僅か。


皇帝自身と一部の皇族と騎士、そして──。





「初めまして、と言った方が良いかな。
私はライラ・ライ。ナイトオブゼロで、今日からは君たちを守る専属騎士よ。」



彼女自身から自己紹介を聞いたルルーシュとナナリーしか知らない。



これがルルーシュとライラの二度目の出逢い。












──ルルーシュ……。





初めまして、と言ったらやっぱり私には少し違和感があったわ。



まだ幼い君、私はずっと先の未来で高校生の君に会ったと話したら信じるかな?




その時の私は記憶も世界の色も失っていて、君たちにたくさんの色をもらったんだ。



そこで幼い君にこれから起こる悲劇も知った。




だから私はこの世界で目覚めると決めたの。




何より大切な"あなた"を守る為に。





この世界で目覚めて力と地位を手に入れて。



マリアンヌさんとも話したんだよ。



本当はマリアンヌさんも助けたかったけど。



彼女は自分の意思でこの運命を受け入れたから、それは叶わなかった。



あの世界とは違う、マリアンヌさんは心底君たちを愛していた。




そして、私に君たちを託してくれた。





『私の大事な愛しい子供たちをよろしくお願いします。』





そう言って、とても優しい笑顔を浮かべたよ。





大丈夫、私が君たちを守るから。




私が君たちに優しい世界をあげる。





だから……笑って。






心から笑って、幸せになってほしい。





もうあんな哀しい笑顔は、見たくないから。






ルルーシュ、君はちゃんと世界に愛されてるよ。





そう、君に伝えよう。





奇跡のように来れた、前とは少しだけ違うこの世界で。




2008.6.30.初出
2020.03.20.再掲載

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