[携帯モード] [URL送信]
優しい星空[ギアス]
スザク×ヒロイン←ルルーシュ。
一応ヒロインはLOST COLORSのライっぽい感じの設定です(この小説のヒロインは女性です)。
最終回後の話。復活のルルーシュは未視聴なので復活〜関係ないです。




悪逆皇帝ルルーシュがゼロによって殺され、世界は優しくなった。



奇しくも何より優しい世界を望み

誰より世界を愛したルルーシュに憎しみを向ける事によって。



そんな優しい世界をルルーシュではない偽物のゼロが守っていく。


可笑しな話だ、本当に……。



「…この仮面は重いね、ルルーシュ……。」


独り、ポツリと呟いた。


仮面をとる事は赦されず、誰も僕を僕として見ない。

それは思ったよりずっと辛くて……時々、弱音をはきそうになる。

こんなんじゃいけないと頭を緩く振ると


「…あなたは枢木スザク?」


不意に声がした。


ギクリと身体が強張る。

人の気配なんて感じなかったのに……。



ゆっくりと声のした方を振り向くと綺麗な、長い髪をした少女が立っていた。


どことなくルルーシュに似ていて

知らない筈なのに懐かしさと愛しさを感じさせる。


少女はゼロである僕を見て、哀しそうに……綺麗な微笑みを浮かべた。



「そっか……じゃあ、本当にルルーシュは憎しみを背負って逝ったんだね。」



儚くて消えてしまいそうな微笑み。





“また失くしてしまうのか……?”





ふと過ぎった思考。


また? 僕は彼女を知らないのに……?





「…確かに目覚めた世界は優しいね。
けど、あなたがいなかったら意味がないよ……ルルーシュ。」



ポツリと、小さな小さな声で呟かれた言葉。


彼女はルルーシュを知っている?

ゼロであるルルーシュを?




「君は…」
「スザク。」


君は誰? そう問おうとしたら名前を呼ばれた。

疑問系じゃない、確信を持った呼び方。



「その仮面は重いでしょう?」



その言葉はまるでルルーシュから言われているようで。



「ずっと独りで背負って来たのよ。
差し出した手を払い退けられても……修羅の道をたった独りで歩いていた。」



瞳を細めて少女が仮面を見つめる。



「その仮面に隠された真実は見えたかしら?
…その仮面の下で何度も、何度も流した涙に……気が付いた?」



ハッとした。

気付かなかった、気付こうとしなかった。

仮面で見えなかったから、それを言い訳にしていたんだ。





ユフィを撃った時、君は泣いていた……?





分かってたけど、解りたくなかった。

ユフィの想いに気付いても、ルルーシュの涙には気付きたくなかった。





「もっと早くあなたが……いえ、やめておきましょうか。
ルルーシュが自分自身で選んだ道。
それに…、あなたへの罰はその仮面で十分だわ……。」



切なげに僕を見て、背を向ける少女。



「ま…待って!!」



咄嗟に呼び止めてしまう。

失いたくなかった、これ以上……いや、もう二度と。




「スザク、私の憎しみはあなたに。」



振り返らぬまま囁かれた言葉に僕は立ち尽くした。




ああ、この仮面は重いね……ルルーシュ。


涙を流しても、誰も気付かない。


どうして、もっと早く気付かなかったのだろう、認めなかったのだろう。





君はたった独りで……とても苦しんでた──。





ぎゅっと強く握り締めた手から血が滲む。





「だから……。」



そんな僕にふわりと優しい温もりが触れる。


立ち去ったと思っていた少女は僕の目の前にいて

僕を優しく抱きしめてくれた。



「私はあなたを憎み、そしてあなたの側にいるわ。」


「わ、けが……わから…い、よ。」



血が滲んだ手は緩み、今度は視界が滲む。



「その仮面に隠された真実に気付いてあげられる者が必要でしょう?」



少女は両手で優しく仮面を挟み微笑む。



「この仮面はあなたへの罰よ。
だけど、もう二度とこの仮面に真実を埋もれさせてはいけない。」



それはルルーシュへの想いだろうか?

チクリと僕の胸が痛む。



「だから……あなたを憎む私があなたの側にいるわ。
あなたがこの仮面の重さに潰されないように見張ってててあげる。」



言われた台詞と裏腹に彼女の表情は優しくて、涙が頬を伝う。



「泣かないでよ、全く……ルルーシュの言った通りだね。」



彼女は再び僕を抱きしめながら小さく笑う。





ねぇ、ルルーシュ……彼女は、君が届けてくれた最後の優しさ?


ズルイよ…卑怯だ、僕には償いさえさせてくれなかった癖に……。





「時々で良い、ルルーシュについて語りましょう。
私たちは誰より優しいルルーシュを忘れないように……。」



優しくて温かくて涙がとまらなくなる。


僕はただ頷く事しか出来なかった。


そんな僕を少女はただ黙って抱きしめてくれていた。





ルルーシュ、僕は君を忘れない。



誰より優しくて温かな君を……ずっとずっと忘れない。





ルルーシュ――君は今、笑えてる?





「……Today's starlit sky seems to be slightly always nice.」

「え…?」


突然の言葉に驚いて彼女を見ると、優しい顔で笑った。


「今、ルルーシュが笑った気がしたんだ。」

「…うん、そうだね。」





──今日の星空はいつもより少し、嬉しそう──

それは君が笑ったからかもしれないね。



2008.10.16.初出
2019.10.07.再掲載

戻る

[*前へ][次へ#]

無料HPエムペ!