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深紅の唇に添えた花言葉[ギアス]
※百合です。苦手な方は見ないで下さい。シャーリーの片想い相手が夢ヒロインになります。
コードギアスのアニメ一期を視聴している事を前提としています。stage13辺りの話です。マオの登場からいきなり話が進みます。
何でも大丈夫な寛大な方のみ閲覧推奨です。
ヒロインは特殊な力持ちの設定です。




佇むシャーリーの後ろからパチパチと拍手をし笑いながらマオが近付く。


「君って女の子が好きなんだね〜。」

「…!」

「あはは、何驚いた顔してるの。
君はライラが好きなんだよね〜?」

「違っ…。」

「違わないだろ? だって君は友達にキスしたじゃないか。
同情をひいて味わうキスは良かったかい?」

「…っ…。」


シャーリーを見詰めるマオの視線には狂気にも似た嫉妬が含まれていた。


「どんなんだろうね〜。
友達だと思ってた女の子にキスされた女の子の気持ちってさぁ。」

「聞きたくないっ!!」


耳を塞ぎしゃがみ込むシャーリーの後ろから静かに影が現れる。

「……マオ、人を傷付けては駄目。」

「ライラっ!」


人影を捉えたマオは歓喜の声を上げる。
反してシャーリーは怯えて座り込み耳を塞いだままキツく瞳を閉じている。

そんなャーリーなど見えていないようにマオは彼女へと駆け寄る。


「ずっと探していたんだよ!」

「マオ…うん、ごめんね。」

「これからはずっと一緒にいてくれるよねっ?」


ライラはマオをそっと抱きしめて静かに瞳を閉じる。

マオのした事は決して褒められる事ではない。

だが、確かにマオもギアスの被害者なのだ。

マオにギアスを能えたC.C.が悪い訳でもない。

きっと誰も悪くはないのだ。

――大きな力は人を狂わせる――

それは人が人であるが故に。

ふと臥せた瞳を開けるとシャーリーに近寄る影が見えた。

お願いするように一つ頷くと影はシャーリーの前に膝をつき、シャーリーを見つめる。


「ルルー…シュ……?」

「すまない。」


ルルーシュの片目が紅く光る。


「ダメェッ!」


悲痛なシャーリーの声が辺りにこだまする。

ゼロ…つまりルルーシュは絶対遵守のギアスを持っている。

それが意味するのは、記憶の抹消。

ライラに関しての記憶全てを忘れる事。

それはシャーリーにとって、大切に温めていた恋心を忘れる事に外ならない。


「イヤァーーッ!」


(ごめんなさい、シャーリー。)


心の中で謝りながらマオへと視線を移す。


「マオ。私も力が強くなったから、少しだけれど声が聞こえなく出来るよ。」


その言葉にマオは驚いたように目を瞬かせると次いでパアッと瞳を輝かせた。


「本当…? やっぱりライラはすごいよ! 優しいし強くて大好き!」


子供のようにはしゃぐマオを一撫でしてから、ライラはシャーリーの方を一瞬だけ見る。

涙の跡が痛々しいシャーリーは、ルルーシュの膝を枕に横たわっていた。


「…ごめんね、ルルーシュ。」

「いや…俺にも責任がある事だ。気にするな。」


そして、静かにライラは力を使う。

すぅっと息を吸い込んで奏で始める綺麗な程に哀しい旋律。


「♪大切な友達だから まだ友達で良いから 傍にいさせて
いつか この想いをあなたに贈れる日が 来ますように♪」


澄んだ歌声が響く中、C.C.がライラに近寄る。


「……お前も大概お人よしだな、他人の恋心を歌ってやるなんて。」

「………。」


今にも泣きそうな顔で微笑むライラにC.C.は眉を寄せた。

そんなライラに溜め息を吐きながらC.C.が問い掛ける。


「彼女の想いに、ずっと気付かなかったのか?」


責める訳ではない。
ただ疑問に思ったから問うた。


「……ルルーシュが好きなんだと思ってた…から。」


そうか。とC.C.はルルーシュを見やる。

ルルーシュ自身は気付いていたのだろう。

自身への想いが彼女へと移っていった事に。


「最初は本気でルルーシュが好きだったんだろうさ。
だが、人の気持ちは移り変わる事もある。」

「そう…だね。
分かってたつもりだったけど、解ってなかったのかもしれない。」


俯くライラの表情はわからない。


「もし、ルルーシュを好きなままだったら……お前は譲るつもりだったのか?」

「………。」


無言は肯定だった。


「時々、お前は卑怯だな。」

「…え…?」

「彼女は苦しんだんじゃないか?
ライバルであるお前を嫌いになりたいのに接していく内に自分に譲ろうとしている事に気付いて。」

それが恋するキッカケになったなら――どれだけシャーリーは葛藤しただろうか。

自分の想いはライラの気持ちを無下にするもので
更に叶う事のない許されない恋だと決定づけられた上で惹かれていく気持ちを止められなかったとしたら。


ライラはそっと瞳を閉じた。


「私は真っ直ぐなシャーリーが好きだった。
ただ素直に、恋に向かう彼女が羨ましかった。」


そんな想いから試合を放棄した。

それなのにシャーリーは。

一人勝ち出来た筈なのに
逃げた自分を気にするあまり惹かれてしまった。

そして、その想いをひた隠しにしていたシャーリー。

周りはみんなシャーリーはルルーシュを好きだと信じて疑わなかった。

その裏で彼女は悩み苦しんでいた。

意図的でないにしろ彼女を苦しめたのは逃げてしまった弱い自分。

ライラはシャーリーに近付くと、その唇に自分の唇を合わせた。

もう、後戻りは出来ないから。



さようなら、君は私の光でした。



別れの言葉は真紅の唇に添えた花言葉で──。




2017.5.1.掲載

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