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狼の鳴く静夜



礼儀正しくしろよ、そう言われてから
目の前の襖が開かれた。
俺は高城が言ったようにするつもりもなく堂々と部屋に入って辺りを見渡した。

「バっ…お辞儀くらいしたらどうだ!!」

「いい、高城。何だこの男は。」

見た目は組長にはあまり見えない、どちらかと言ったら若頭のような男が、ドでかい座椅子に座ってパソコンをいじっていた。
見た目は20代後半…くらいか。


「あの、路地で見掛けまして…戦闘能力が一般人にしては高すぎるので、少しでも組の力になればと…。」

高城が控えめにそう言うと、男はほぅ…とだけ呟いて、近くにいたボディガードらしき男にひそひそと何か話していた。

「はっ!」

男はお辞儀をして出て行った。
何を言ったんだあの男。
俺が考えていたことが高城に通じたのか、高城が男に問いただした。

「あの、今何を…。」

嫌な予感しかしない、恐らく高城はそう
思っているだろう。
そんな考えとは違って俺はワクワクしていた。次はどんな出来事が起きるんだ。

「頭木を呼んだ。少し見せて貰う。」

「い"っ…」

「誰だよそれ。」

「さっき門の所で会ったお方だ!」

いくら何でもヤバい…とか、何かぶつぶつ呟いている高城に俺は一言言った。

「さっき俺の蹴り喰らってた。
大したことねぇ。」

「バカかお前!あんなんお遊びだぞ!?
頭木さんが本気だしたらお前何かケチョンケチョンだ!!」

へぇ、面白いじゃねぇか。
俺は高鳴る鼓動を無理やり抑えた。


しばらくするとスパンッと襖が勢いよく
開き、先程見たガタいの良い男が入ってきた。頭木っつったな…。

頭木は俺の顔を見るとニヤリと笑った。
薄気味わりぃ野郎だ、気持ち悪ぃ。

「よぉ、さっきぶりじゃん。」

「うるせぇよ、やるならさっさとしろ」

頭木はいいね、と呟いて組長の顔を見た。組長が顎で示すと、風を切るかの如く、凄まじいスピードで拳が飛んできた。
かろうじて顔面直撃は避けられたが、
頬骨に少し当たった。

殴られた所から血が垂れてきた。
マジで1対1で俺を傷つけられる奴いた…。
組長はニヤニヤと俺を見ていた。
頭木も余裕だと言わんばかりに攻撃の体制を崩していた。
高城はどっちを応援しようか迷っている。

「面白ぇっ…!」

俺は全力で頭木の腹に右拳を振り下ろしたが、あえなく避けられた。
そのままの勢いにのって左足の回し蹴りを喰らわす。が、それも避けられる。


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あきゅろす。
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