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狼の鳴く静夜



ぞくぞくする。
血液が巡って全身が熱い。

「くくっ…。」

薄ら笑いを浮かべた俺に対し、男は少し
身震いした。
そしてふっともう一度手が差し伸べられた。

「俺、高城旭!お前は?」

「名前なんてどうでもいい。
さっさとてめぇより強い奴に会わせろ。」

「まぁまぁ、いいじゃん!!
あ、教えてくれないと会わせねぇよ?」

コイツだりぃ。
自分が上だと思い込んでやがる。
だいたいこういう奴はものの10秒で
逝かせてやれるモンだが、認めたくねぇが生憎コイツは強い。

「別にいい。自分の素性明かしてまで
会いたいとは思わない。」

そう返した俺に、高城は少しきょとんと
していたが、すぐに慌てて言った。

カマかけか、余計面倒臭い。

「う、嘘だって!俺に付いて来い!!
お前なんかより強ぇ奴がわんさかいるぞ」

へぇ、どうだか。
俺は今まで自分より強い奴に会ったことがない。
正直会いたいとは思っていたが、一般人にはいないだろうと考えていた。
やはり俺の考えは的中で、強い奴を見つけたものの、ヤクザだった訳だ。
一般人と違って関わるのが面倒だが、いざ目の前に見つけちまうと関わりたくなってくる。
そう考える俺はおかしいか?






「ここだ。…お疲れ様です!」


高城は俺にそう言うと、門番らしきガタいの良い男に挨拶をした。
いかにもって感じだな。

「あぁ、横の奴は誰だ?
…って、血ぃついてんじゃねぇか。」

「あ〜、ちょっと色々ありまして…。
取り敢えず組長に会いたいんですけど、
今いますかね?」

「おぅ、風龍の間にいるぜ。」

「ありがとうございます!!」

高城にこっちだ、と手招きされ、門へと
足を踏み入れようとすると、門番の男に
止められた。

知らぬ間に顎を手で掴まれ、顔を近付けられた。
俺は反射的に殴ろうとしたが、もう片方の手で止められ、そのままキスされた。

俺は足にありったけの力を込めて鳩尾を
蹴り上げた。

「ぅぐっ…!?ぉおおぉぉ…いってぇな、
小僧お前気に入ったぜ。」

あれだけ本気で蹴り上げたらもっと痛がる筈なんだかな、と少し不思議だ。
あぁ、コイツも強いのか。

にしても男同士のキスとか冗談抜きで
キモい、気持ち悪過ぎる。
俺は服で口を何回も擦った。

そして男を無視して門を通り過ぎたとき
高城に言われた。

「さっきの人はかし−−−」

「言わなくていい。」




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