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狼の鳴く静夜
13


無理やり浴衣を脱がされて、凍てつくような鋭い視線が俺を見る。
こんなもん、ただの布切れじゃねぇか。
片瀬は股に足を割り込ませて、俺に覆い
被さった。
顔の横に手を置かれて、これじゃ全く
逃げ場がねぇ。
全裸になった俺を、片瀬は何をするでも
なく、じと…と舐め回すように見た。

「なぁ片瀬っ…」

「おい」

急に片瀬が口を開き、俺は文句を言おうと開いた口を閉じた。
本当にこいつ何考えてるかわかんねぇ。

「どこがいいか、言え」

「…は?」

「早くしろ、俺は気が長くない」

「そんな、別にどこも…ぐあっ…!」

表情を変えないまま、膝で腹を潰しに
かかる片瀬。
グリグリと押し潰すようにして、痛がる
俺のさまを見て笑った。
わらっ…た。片瀬が。
どうやらこいつの笑みは俺にとって、
悪魔と同等の価値があるみてぇだ。

「ぐ…っ、げほっ!おぇ、う…」

胃液が逆流してきて、口にすっぱい味が
広がった。

「早く言えよ、所構わず誰にでも
エロい姿晒すんなら俺ぐらいいいだろ。
おら、ど こ が い い」

「はっ…ひゅ、…っ…ぁ」

片瀬の吐息が顔にかかる。
死ぬまでやるつもりだろこいつ。
苦しくて、焦点が合わなくて、仕方なく、本当に仕方なく俺は消え入りそうな声で
言った。

「っち、…んこ…が…い…っ」

「ちんこじゃねぇだろ?
はあ…俺にはよく理解出来んが、お前らが言うには“ちんぽ”と言うらしいな」

何故か俺が淫乱呼ばわりされていることに酷く腹が立ったが、未だ腹から離れない
片瀬の膝を見て、腹を括った。

「…ちんぽ…が、い…ぃ」

やべ、もう意識が…
そう頭を過ぎった直後、片瀬の膝が腹から退いた。

「か…っはぁっはーっ、はぁ、はぁっ」

「俺が言ったことには5秒以内に従え。
わかったな」

「げほっ…は、わ、わかったよ」

「それと、先ほどは許してやったが
お前は俺に必ず敬語を使え」

「なっ…なんで、」

ガッ!

「…ってぇ」

聞いただけで殴んのかよ。

「俺には敬語を使え」

「…はい」

こいつの実力は知らない。
だが頭木が下についてるってことは、
あいつよりは確実に強いってことだ。
やっぱヤクザなんかに足突っ込まなきゃ
よかったと一人ごちた。



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あきゅろす。
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