93゚ (21) 遙さんの腕を振り払って、また走り出そうとすると誰かにぶつかった そのまま尻餅をついて遙さんに捕まった ぶつかった相手を見ると……何日も会っていなかった志紅だった 「ごめっ「イヤッ!!」 謝ろうと志紅に手を差し出すと、本当に嫌そうに振り払われた 『詩遠を恐れてる』 李以に言われた言葉が頭を過った 俺は…ここにいちゃいけない そう思った でも、志紅に嫌われたショックでまたあの感覚になりそうになった いやだっ…なりたくないっ 「やだ、はなれて…こー…じ、やだよっ」 取り乱した俺は遙さんの腕の中で暴れる やっときた幸慈に、強く抱き締められた 「もう…やだよ…」 そう言って意識を飛ばした やっぱりここに居ちゃいけないんだ 俺がいたら…迷惑なんだ なんで…こんな力があるんだろう こんな力いらない…欲しくない 誰か助けて――… [←][→] [戻る] |