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93゚
(12)

 
「こーじ?」
 
いつまでも離してくれない幸慈に声をかけると、更に抱き締められた
 
え…え?
 
ちょ、恥ずかしいって
 
1人でアワアワしていると、顔を上に持ち上げられる
 
「クスッ……顔真っ赤」
 
優しい笑みを俺に向けてくれた
 
うぅ………
 
また赤くなるのが自分でもわかった
 
ヤバいヤバい…本当恥ずかしい
 
知らない内に目を泳がせていたのか、また笑われる
 
「離してよっ///」
 
照れ隠しに幸慈の腕の中で暴れると、今度はしっかり抱き締められ逃げれなくなった
 
「いきなり…倒れんな。心配するだろ」
 
幸慈に弱々しい声に吃驚したが、それ以上に幸慈がいなくなりそうで怖かった
 
幸慈の腕の中でコクンと頷くと、また強く引き寄せられた
 
「詩遠…」
 
「……………ん?」
 
暫くして俺の名を呼ぶ声がして返事をする
 
「俺の本家に来ないか?…マンションでも良い」
 
・ ・ ・
 
「うぇ?」
 
ちょ、トリップしちゃったじゃん
 
冗談かと思ってまた返事をすると、真剣な目で見られた
 
なんで…?
 
「な、んで?……意味分かんないよ」
 
なんで一緒に住もうと言うか、なんで俺なのか…全てが分からない
 
なんで…俺なの?
 
「はぁ……鈍感」
 
「どっ!?」
 
ため息をつかれ、その上、鈍感まで言われたら俺も悲しいでしょうが
 
幸慈は一旦俺を離し俺の目線に合わせた
 
ムッ……なんかムカつく
 
チュッ
 
「好きだ」
 
唇に暖かい温もりを感じた後、耳に低いエロボイスな幸慈の声
 
色んな意味で…なんかヤバい
 
「お、俺は……
 
 
 
 
 
俺も……
 
 
 
 
 
―――――…好きだよ?」
 

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