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(09) -Side志紅-
「……って思う…詩遠?えっ詩遠!?」
詩遠にアドバイスを言っていると、なんか気配を感じない
不信に思ってふと横を見ると、顔を青白くして倒れている詩遠
そ、そうだ!!
遙さんに連絡!!
泣きそうになりながらも、携帯を取り出して遙さんの番号を押す
でも手が震えて上手く押せなかった
『…はい?』
「は、はる、かさん……詩遠が…ふぇっ.ヒック…」
『?……志紅君…落ち着いて』
やっと掛けられたと思ったら、言葉が詰まり単語しか出なくなった
遙さんに言われ、少し落ち着いた俺は今度はちゃんと言えた
『…それ、幸慈さんにも言っておいて下さい。すぐそちらに向かいます』
幸慈さんの番号を知らなかったから、詩遠の携帯からかけた
最初は不信がられ怖かったけど、説明したらすぐ来ると言って切られた
早く…来て!!
ベンチに座り詩遠の頭が、俺の太股にくるようにした
それに寒くならないように、薄いものだけど上着をかけてあげた
早く早く早く…
願いが通じたのか幸慈さんが来た。
………遙さんは?
「詩遠は!?」
急いできたのかスーツは着崩れている
詩遠を気遣いながら起き上がらせる
「チッ…遙は教会にいるからお前も来い」
幸慈さんは詩遠を横抱き…所謂お姫様抱っこをして走り出した
俺も慌てて幸慈さんの後を追う
この時声には出さなかったけれど……
なんで遙さんはここに来てくれなかったんだろう
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