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93゚
(03)

 
歌い終わって懍ちゃんを見ると、食べる手を止めちゃんと聴いてくれていたらしい
 
そんな懍ちゃんに嬉しく思いながら、和の中に戻した
 
「お疲れ。昨日もあんまり寝てないんだろ?大丈夫か?」
 
頭に手をポンッと置かれ、顔だけをそちらに向ける
 
すると幸慈の心配そうな顔が目に写った
 
「んー…大丈夫だよ。こーじこそ仕事は良いの?」
 
「あぁ。終わっていなかったらここに来てないからな」
 
幸慈も……凄いよな
すぐに仕事を終わらせてしまう
 
俺には無理だわぁ…
 
そう思いながらふらつく足を支える
 
「はぁ…お前はどうしてそう……今日は寝ろ。大丈夫だ…この調子なら」
 
頭上でため息をつかれいい気がしない
 
…が眠気には勝てないのか幸慈に寄りかかった
 
身体が浮くのを不安に思うが、幸慈に身を預ける
 
隣に暖かさを感じながら――…
 
目を開けると、暗く大きな壁があった
 
顔を上げると俺の腰に手を添え、腕枕をしてくれている幸慈の姿があった
 
わわわわっ……////
 
恥ずかしくて顔を幸慈の胸に埋めると、隣の塊が身動いた
 
「起きたか……?」
 
「…う、うん」
 
問いに答え、どうすれば良いのか分からずそのまま固まっていると、腰を押され更に幸慈と密着した
 
「……こーじ?」
 
「………zzZ」
 
呼び掛けても返答のない幸慈を不思議に思い、幸慈を見るとスヤスヤと眠っていた
 
幸慈こそ…寝てないじゃん
 
髪を撫でてあげると眉間を寄せ、もう無理だろというぐらいまた俺を引き寄せた
 
恐る恐る手を幸慈の背中に伸ばして、抱き着いた
 
今日は……いい夢見そうな予感
 

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