93゚
(01)
=想い合う気持ち=
今日は懍ちゃんの誕生日
事前に蓮さんと蘭さんと幸慈には言っておいてあり、懍ちゃんの両親、親戚まで来るという大きな誕生日になってしまった
「こーじ!!あれ!!あれ取って!!」
俺の背では届かない所にデジタルカメラがあり、椅子に乗っても届かないという…屈辱的な思いをし、幸慈に頼んだ
もう少しで12時
懍ちゃんとの約束の時間だ
「蓮さん!!みんな、今から呼んでくるから静かにしててね!!」
念を押すように皆に言うと、水が静まり返ったようにシンッとなった
ここまでならなくても良いんだけどな…
苦笑いを残し、走って教会の正面入口に出た
直に懍ちゃんはいて教会の脇にある花壇で、棒でミミズを突っついて……潰していた
今の子って…こんな残酷なの?
あぁ…ミミズも頑張って生きてたのにな
教会の近くの花壇にいれば安全だと思ったんだよな。うん。
「懍ちゃん…ミミズさ可哀想だよ?」
「あ!!おにいちゃん!!だってねぇ、たのしいんだもん!!」
無邪気な笑顔で言わないで下さい
取り敢えず死んだミミズを小鳥たちにあげて懍を教会にいれる
手を洗わせて紫のドレスを着せる
「きれいなおようふくねぇ。…あっ、おにいちゃんみちゃだめ!!」
トテテテ…と可愛らしい音をたてながら俺の部屋に入っていく
やっぱり女の子だなぁ…と思いながら部屋を出る
中には事前に打ち合わせしておいた、家政婦さんに任せてある
数分してドアが開く
「おにいちゃん!!…かわいい?」
ニッコリ笑いながら俺の服の裾を掴む懍ちゃん
そこには紫のドレスを着こなして、軽く化粧をした懍ちゃんの姿があった
「……うん…すっごい綺麗だよ」
笑みを浮かべ目線を合わせると、懍ちゃんは薄く頬を赤める
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