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93゚
(15)

 
そう思っていると俺の前に影が
 
よく見ると蘭さんだった。
 
蘭さんは男の人から俺を隠すように立っていてくれていた
 
「あんまり、近付かないほうが良いよ?」
 
「あぁ…?お前は黙ってろよ!!!」
 
そう言って蘭さんを突き飛ばした
 
痛ってぇ…って言いながら腰を擦る蘭さん
 
それを横目で見て、嘲笑うかのように鼻で笑った
 
「本当だったんだな。ここの教会の管理人はデキてるって…しかも男ど…ぐぁぁっ「……黙れよ糞が、殺されてぇのか?あぁ?」…ヒッ」
 
男の人が蘭さんを批判しているといきなり倒れた
 
え…えぇぇ…!?!?
 
しかも男の人の顔の上にある足は蓮さんのものであって…
 
「蘭?大丈夫か?あぁ…身体が汚れた。また風呂入ろうな」
 
「あ、あぁ…大丈夫だから…なにもすんな」
 
「クスッ……蘭は面白い事言うね…。蘭に触った男を生かしておくの?甘いよ、蘭」
 
ビクッ…
 
いつもの優しい蓮さんじゃなくて、不敵に笑う蓮さんは凄く怖かった
 
蘭さんはそんな蓮さんに抱き着いて、なにかを必死に守ろうとしていた
 
「あ……あ…あ゛ぁぁぁあ゛ぁあ゛あ゛…」
 
怖くて怖くて怖くて。
 
ヤクザさん達が怖いとかそんな領域は越えていた
 
優しい蓮さん、強気な蘭さんを失いそうで怖かった
 
そう思ってたら俺の声から、あり得ない質音が出てくる
 
地を這うような…そんな声
 
止めたくても止められない
 
自分自身じゃないみたいで怖かった
 
そしたらこんな俺の状態に逸速く気付いたのは、幸慈だった
 
「詩遠…大丈夫だ…大丈夫だから…」
 
それを繰り返し言っていた
 
それでも俺の声は止まらない
 

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