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93゚
(12)

 
「…ッ……大丈夫ですか?」
 
周りからは車に対する抗議の声、俺に対する感激の声が聞こえてきた
 
「ごめんなさいね…大丈夫だ……」
 
そこでおばあちゃんの声が途切れる
 
足元に目を向けると赤く腫れていた
 
おばあちゃんに負担を掛けないように押したが、足を怪我してしまったようだ
 
「詩遠!!お前は馬鹿か!!いきなり飛び出して…」
 
幸慈が凄い血相で掴みかかってくる
 
うわ……すげぇ迫力
 
「ごめんって…それより、このおばあちゃん教会に運んでよ」
 
幸慈に頼んで自分も立ち上がろうとすると、膝が逝っちゃったみたいで立ち上がれなかった
 
あぁ…どうしよう
蓮さんに心配かける
 
「わ……足やべぇ」
 
なんとなく感激してるとまた幸慈の罵声が
 
「お前は本当に馬鹿だ…まぁいい。掴まれ」
 
俺とおばあちゃんを1人で抱える幸慈
 
おばあちゃんは普通に支えてるけど…何。この差……
 
どうせ。俺はチビだよ。
 
……だからって…肩に担がなくても良いじゃんか!!!
 
俺が降りようとしても無効力だし?
 
あぁ…なんか俺、悲しい。泣いちゃう。ルールール……
 
「あれ?幸慈。どうしたの?てかこの粗大ゴミなに?」
 
………蓮さんごめんなさい
 
邪魔でしたよね。入り口に置いてごめんなさい
 
だから粗大ゴミとか言わないで。
 

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