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93゚
(08) -Side幸慈-

 
今は家具専門店の店で、俺がよく行く店に来た。初めてみたデカイ店に吃驚したのか、詩遠は綺麗な笑顔を撒き散らしながら周りを見渡す。
 
男女構わず詩遠を見ては、顔を赤らめる奴らが多数居てムカついた。
 
まさか組長をしているこの俺が、こんなガキに惚れるなんて…な。思いもしなかった。
 
 
久々に蓮と蘭に会いに行ったら、蘭の隣にガキがいた。不信に思って尋ねると、そいつは俺をボーッと見つめ百面相を始めたんだ。
 
一目惚れ、不覚だった。こんなに誰かと居るのが楽しいと思った事はない。
 
周りの視線に気付いたのか、ソワソワしはじめた詩遠の腰を抱いて歩き始める。最初は軽く抵抗していたが、なぜか止めた詩遠。
 
まあ、俺には都合がいい。
 
「ここには大抵のものは揃ってる。
いろいろ見てこい」
 
そう言って近くにある椅子に座り煙草を取り出す。でも、一向に選ぼうとしない詩遠に声をかける。
 
「どうした?」
 
「あ、あの
…よく場所とか、あと少し不安だからこーじも一緒が…良いなあとか、思ったりして」
 
……こいつは何処まで俺を夢中にさせる気だ。癖のついた俺の呼び名。
 
『こーじ』
 
これは詩遠にしか呼ばせねえ。俺が詩遠の顔みながらそんなことを思ってるなんて、わからないだろうな。
 
少し笑みを零し、ついさっきまで腕を回していた腰を引き寄せた。
 


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