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(20)
詩遠の寮部屋から出て、來人に電話をかける
すぐに出たと思いきや、幼女の声が聞こえる
來人にロリコン趣味があるかと疑ったが、その考えは打ち消された
『懍ちゃんっ』
詩遠になついているガキだ
『もしもし〜?
お兄ちゃんですか?』
來人にかわれ。と一言言うと、電話の向こうで「怖い人だ」と叫ぶ声が聞こえた
ガクッと頭が傾きそうなところを抑え、來人が出るのを待つ
『すみませんっ、幸慈さんの帰りが遅いので、教会に来たのですが…』
「じゃあ、そこで待ってろ。今から行く。」
一方的に電話を切り、教会へと足を進めた
ここから教会まで少しあるが、歩いていけないというほどではない
パラパラ不良らしき共が校内に入っていく
懐かしい母校を背に、これから葎に会うと思うと気が重いと感じた
葎には聞きたいことがたくさんある
まだなんも話してないからな…時間はかかりそうだ
「最近、ヤってねぇな…」
首の骨を鳴らしながら、小さく呟いた
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