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(18)
どうしたらいいか悩んでいると、詩遠が俺を紹介する
「えっと、久原こーじっていって…俺の…」
言葉を濁して俺をチラチラ見る
「詩遠の恋人だ」
俺は隠しもせず、詩遠の腰を引き寄せながら言った
この学校に通ってるぐらいだ
男同士なんて腐るほど見ただろう
「な、なぁ…」
手を口に当てている子の隣に立っている、少年が詩遠を呼ぶ
名残惜しかったが、そこまで餓鬼じゃないからな…詩遠の腰を離す
「くはらこうじ…って言ったよな?」
「え?…うん」
詩遠が肯定したあと、少年はあわあわ口を震わせた
「「しょ、しょ、初代姫!!」」
今度は詩遠と志紅、みんな叫んで俺を指差した
その叫んだ内容に驚いたのは、詩遠と志紅だった
まぁ…そうだよな
こんな仏頂面のやつが初代姫なんて
「えっ、こーじ?」
「あー…なんで知ってんだお前ら」
頭をかきながら問うと、最初に確認した少年が答える
「あの、伝説なんです!!…初代の姫、王子、妖精、騎士、薔薇の貴公子、氷姫は!!
とても仲良しで美しいと聞いています」
自分のことのように嬉しそうに話す
軽く相槌をつきながら、席に着くよう進める
「今じゃ、氷姫じゃなくて眠り姫になっているんですよ?」
なんとなく、誰がどの名を持つのかは分かった
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