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93゚
(06)

 
「じゃあ…出掛けようか」
 
今日は家具を買いに町に出る事になった。居候させてもらうだけでも嬉しいことなのに、家具まで与えてくれるらしい。
 
昨日、部屋を貰って蘭さんの前の部屋になった。俺の両隣は空き部屋と応接間。
 
やっぱり蓮さんは蘭さんの隣。その隣はいろいろ危険かなって思って…廊下を挟んだ。
 
 
長い絨毯の上を優雅に歩く2人の間に俺って…。なんか、合わなすぎるよ。
 
もうすぐ裏門の出口ってところで、その扉が開いた。無意識に蘭さんの裾を掴んでいると、頭を数回撫でられた。
 
「大丈夫だよ。
こっちから入る人は兄貴のダチ」
 
蓮さんの友達…?どんな人だろ…。きっといい人なんだろうなあ。
 
「よぉ、蓮。
…なんだお出かけか?」
 
…すいません。怖い。怖いです。
 
俺はまた蘭さんの後ろに隠れていた。だってオーラが違うもんっ、なんか…黒ですって感じで。
 
まさか、ヤのつく職業のかたかな?黒いスーツとかそれっぽいよ。
 
「おはよ、幸慈。
ああ…この子の家具を買いにな」
 
蓮さん、今だけ貴方を恨みます。だって…なんか見てくるし!!睨んでるよね?
 
挨拶だよな?…そりゃ怖いけど、礼儀はばあちゃんに躾られてるし。
 
「おい、大丈夫かお前」
 
「うぇ!?…あ、はい」
 
俺の隣にいる蘭さんから 「 ふっ 」 と鼻から笑う音が聞こえた。チラッと見ると、やっぱり笑ってる…。
 
はいはい。どうせ、どんくさい奴と思ったんでしょ?…もういいよ!!
 
「気に入った…蓮、俺が行く。
お前は蘭とナニでもしてろ」
 
「んなあ…っ」
 
え、ちょ、なに?蓮さん何ニヤニヤしてんの?蘭さん何顔赤くしてんの?
 
「おい、行くぞ」
 
「へ……!?」
 
俺の腕はヤのつく職業のかたに奪われた。
 


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