93゚
(09)
遙が動こうとしているのがわかる
「遙、待て」
そう言うと葎は銃を俺に向ける
だから…俺はなんかやったのかって
「久原は…俺の気持ち知ってた癖にっ、捨てて…!!それから連絡途絶えちゃうしっ、だから!!」
はぁ、とまたため息をつく
やっと意味がわかった
「なぁ、葎。俺言ったよな?
俺とお前は親友だって」
「じゃぁっ!!…なんであのとき、関係を持ってくれたの?期待させないでよ!!」
持っている銃を振るわせながら、涙を流す
「どうせ、遊びだったんでしょ?…今は詩遠とかいう子なんでしょ?
あんな子久原に相応しくないよ!!」
パンッ
「いくら葎でも…詩遠のことで言われたくねぇな」
葎の足元には俺が打った銃弾が刺さっていた
俺が本気なのに気付いたのか…葎が怒り狂う
「煩い煩い煩いっ!!」
そう言って、葎は俺に発砲した
でも俺は避けることなく……銃弾は俺のわき腹を貫通した
「幸慈さんっ」
遙が葎に銃を向ける
葎は顔を真っ青にしながら、こちらを心配そうに見る
葎は…本当は良い奴なんだ
それを俺が壊したかと思うと、こんな痛みなんでもない
あのとき…違う判断をしたら、葎が俺を撃つなんてこと
なかったのにな
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!