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第一話




「先輩、俺、先輩のことが好きです。付き合って下さい!」




俺、菅原 優希(カンバラ ユウキ)20歳♂。

たった今、男に告白されました。

これで何回目だろうか。

とりあえず、突然告白してきた目の前の男は一体誰なんだ。

まあ、訊くしかないか。



「…えっと、とりあえず誰?」




その途端、ポカンと口をあける目の前の男。

何回かぱくぱくと口を動かした後、ようやく言った。

「俺、先輩と同じ書道部の山守 螢詩(ヤマモリ ケイシ)っ
 す!!」




同じ部活だったのか…!

そういえば見かけたことがあるような気もするけど…。



目の前の男が俺の様子を窺うようにしながら口を開く。

「…そ、それで先輩…返事、訊いてもいいっすか…?」


俺は少し考えた。

「……」





再び目の前の男が言った。

「や、やっぱ無理っすよね…。先輩、俺のこと知らなかったんだし…」

苦笑しながら続ける言葉を遮って俺は言った。

「…いいよ。」




「え?」

目の前の男がぽかんとした顔をする。






クスッと笑いながら俺はもう一度言った。

「だから、告白の返事。いいよ。付き合っても。」

悪い奴じゃなさそうだし、顔もわりと好みだし、まあいいか、と思った。

それに、嬉しそうに笑う目の前の男に少し、興味がわいた。




俺は微笑を浮かべて目の前の男に声をかける。

「どっかいこうよ。折角だから君と喋りたいな。」


目の前の男は嬉しそうに、でもどこか困ったように言った。

「部活がありますよ。」




耳元で囁く。

「いいじゃん。…なぁ、螢詩、ダメ?」

その後、上目遣いに見上げた。




螢詩は一瞬固まった後、顔を真っ赤にしてうなずいた。

そしてため息をつく。

「先輩、それは反則っすよ…。…マジ可愛過ぎ…」


「じゃ、決まりだな。」
俺はにやっと笑った。

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あきゅろす。
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