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TRANSACTION【BL】
努力2


そして二つ目

これは真面目な話だ。


組の邪魔にならないこと


今の俺じゃなんの役にもたたない。
手助けにはなりたいが、それが簡単に
できるほどこの世界は甘くない。

だったら、おとなしくせめて邪魔には
ならないように生活しよう。

勉強をするにせよ、あまり東さんには
頼らないようにして、人肌恋しいからって
旭にも甘えないようにしよう。


て言うか、元々俺は甘える性格じゃ
なかったはずなんだが・・・。

すっかり組に入ってから人が
好きになったみたいだ。






なんだかんだ言ってまだ入学式も
行っていない俺は、春休みをほぼ
屋敷内で過ごしていた。

相変わらずぱたぱたと廊下を走る
足音が聞こえたりして、俺は
シャーペンを持ちながら少し
視線をおとした。

・・・少しでも助けになりたい。

けど、まだ駄目なんだ。

俺じゃ足でまといになる。
何もわからないんじゃ話にならないし、
説明するほど皆も暇じゃない。

しょうがないんだ。


「おい、燐」

「・・・っ!びっくりした、声くらいかけろよ」

「どうせ勉強しかしてねぇんだから
必要ねぇだろ」

「あるっつーの!」


突然旭が俺の部屋に入ってきた。

シャツにスラックスという、
ラフだが疲れたような姿のまま、
俺を上から見下ろした。


「な、なんだよ・・・」


その表情からは何も読み取れず、
俺はただじっと旭を見ているしかなかった。


「来い」

「はぁ?」


やっと動いたと思ったら腕を掴まれて
そのまま持ち上げられた。

手を引かれたどり着いた先は
旭の部屋。

いつ見ても綺麗なこの部屋。

家具も必要最低限しかないし、
部屋に来るといつも触っているパソコンが
黒光りしていて綺麗だ。

いまいち意図が掴めない俺に対して、
旭は目も合わせずにこうぬかした。


「そこに寝ろ」


そこ≠ニは、旭の布団のことで。

なんの躊躇いもなく指をさす旭は
いたって真面目で。

俺も変な態度をとってはいけないのだろうと
何も聞かずに寝そべった。


すると、旭もあとを追うように
布団に入ってきた。

そして、腰にするりと手があたったと
思ったら・・・、


「おいっ、何してんだよ」

「あぁ?抱き枕だよ文句あるか」


腰から腹にかけて巻きついた腕を
上から触り、後ろ目で旭の顔を見た。

旭は既に寝そうで、瞑った目には
濃い隈ができていた。

ここ数日話してなかったが、
やっぱりそれなりに忙しいんだよな。

こいつも一応若頭なんだし。


俺の何百倍も働いてるのに
弱音を一切吐かない。

沽券か。

こうやって俺を使うのも、
一応頼られてるって考えていいのか。

だとしたら、俺は旭のために
なっているのだろうか。

だといいけど。

こんな形で組の手助けになるのもいいな。


俺は旭の腕をしっかり握って
目を瞑った。


「おやすみ、旭」















「おやおや、本当に親子みたいだ」



まあ、そんな夢物語も


すぐに






終わりますが










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あきゅろす。
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