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TRANSACTION【BL】
取り引き2


その日は、珍しく雪が降っていた。

受験当日の日のように、
同じ中学の奴らが俺を見て
ひそひそと小声で話し出す。

「なんで五十嵐がこの学校?」
「100%落ちるだろ」
「高校も同じとか勘弁してくれよ」
「だから受かんねぇって」

俺は真面目にやった。
東さんもほぼ毎日俺に
付き合ってくれた。

絶対に受かってるはず。

絶対に。

そして俺は、将来組の役に立つために
勉強するんだ。


校門が開いたと同時に
吹奏楽が歓迎の演奏を始める。

やべぇ、緊張してきた。

ガラになく手が震えて冷たくなっているのが
わかった。

さっきまで自信満々だったのに
急に腰が引けてきた。


「何してる、行ってこい」

「あ、…うん」


いつの間にか敬語が
どこかにいってしまう程
仲良くなった俺達。

旭には親子みたいだなんて
からかわれたけど、実際親が近くにいる
みたいな心強さがあった。


そして、俺は合格不合格の波が
溢れる集団に、突っ込んでいった。











「東さんっ…!
俺、俺受かった!」

「当たり前だ。俺が教えたんだからな」


強面には似合わない笑顔を見て、
俺もついガキみたいに喜んでしまった。


「な、何で俺が落ちて五十嵐が
受かってんだよ…何かの間違いだろ」
「しょうがないよ、ここ、
偏差値高いし…」
「うるせー!お前らは受かったから
いいけど、俺は、あいつに…負けたんたぞ」


近くで聞こえた悔しそうな声に、
俺は頬がゆるみ、その足で屋敷に
帰った。



「そうか、おめでとう。
おーい大杉!今日は燐の合格祝いだ!
ご馳走にしろ!」

「ま、また若頭…材料とか色々大変
なんですからこっちも…!」

「燐!受かったのか!おめでとう!
やりゃあできる子だお前は!」
「しかも合格校は県立一位の
進学校だろ!?すげぇじゃねぇか!」
「頑張れよ燐!」



ここまで、は良かったんだ。

順調にことが進んで、
やっと組のために何か出来るかも…
なんて思った矢先の出来事だった。



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あきゅろす。
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