liar girl
Transparent lie
あれから4日経ち、三月も明日で終わってしまう。
今日の朝も黒子を確認出来なかったけど、おそらくリビングには居たのだろう。
もうインターネットで調べてても分かりそうに無いので、久しぶりに図書館に言って過去の新聞など探しにカウンターに向かった。
「ほのかちゃんか?」
『お久しぶりです』
「元気無さそうやな」
『あはは…やっぱりバレますか。………実はですねーーー』
知り合いのお爺さん司書にオブラートに包んで今回の事を伝える。
お爺さんかなり博学だから、何かヒントが見るかるかもしれへん。
「なるほど…。ちょっと待っといてくれ」
少し悩んだ後に携帯を手に外へと出ていくお爺さん。
何処かに電話をかけているみたいやけど、表情が硬い。
あの調子やと、心当たりはあるんか。
話が分かる人やから警察に電話なんてないやろうけど…。
十分程経ったあとに戻ってきたお爺さんに連れられ、図書館の隣の喫茶店に入る。
『えっと…何か分かりましたか?』
「あぁ。知り合いにほのかちゃんと同じ事を体験した子が居てな。話す許可を貰っとったんや」
…えっ!?
うちと同じって、誰かが逆トリしてきた事があるってこと?
目を丸くする私を見て笑うお爺さん。
「ワシもさっき内心そうじゃったよ。まさかまたこんな事が起こるとは思っとらんかったしな」
マスターが入れてくれたカフェオレを一口飲んでから口を開く。
『…許可って』
「取れたよ。さて、昔話の感覚て聞いてくれ。あれは約20年前のことーーー」
Transparent lie
そっか、もう桜の時期やったな。
頭の中を整理しながら歩いてると目の前を桜の花びらが舞い、顔を上げるとかなり蕾が咲いてきていた。
…けど、あの話が今回と同じならあと5日。
あと5日乗り切ったらまた元の生活に戻るんや。
それが嬉しいとは言いきれず何処かモヤモヤした気持ちがある。
だから、割り切っとったのに…。
桜のしたで立ち止まりため息をしていると、この桜の植えてある公園から走って出た来た女子と目が合う。
「あっ…ちょうどよかった!ほのか、あんたまた何やったん」
『はい?またって…うちは問題児ではないで』
慌てた様子で駆け寄ってきた同中でクラスメイトの三佳を手で制しながら話を促す。
『で、何なん?』
「いや、今さ本屋からの帰りやねんけど桜を見たかったし抜け道使ってきたんや。んで、その抜け道の途中であんたの名前が聞こえた気がしてよく見てみたら男女が喧嘩して、男1人女5.6人な。よくよく聞いてもあんたの名前やし、携帯繋がらへんし、今から家に突撃してやろっかと思ってたところ」
…はっきり言って心当たりはないことは無いが有り得ないだろう。
携帯に繋がらなかったのはマナーモードにしてたやからやろうし。
マナーモードを外してから向き直り口を開く。
『なぁ、その男子の特徴ーーー』
は?
そう言い終わる前に携帯の着信音が鳴り響いて慌てて取り出す。
宮地から…?
何か嫌な予感しかしいひん。
一言断りを入れてから、通話ボタンを押す。
『もしもし』
<出るの遅ぇ!轢かれてぇのか!!>
余りの声の大きさに少し耳から離してから呟く。
『…無免許の癖に』
<今はそんなの言ってる場合じゃないんだよ!!黄瀬がそのまま出ていって2時間経つのに帰って来ないんだよ!>
予感的中とか最悪。
やっぱり黒子の言ってた“城田 未来”って子が原因か?
『……何も付けずにってことやんな』
<あぁ。俺らが探しに行っても迷子になるのがオチだし、道子さんもさっき仕事の呼び出しで出ていったんだよ!>
『ちょい待ち』
目の前でぽかんとしている三佳に声を掛ける。
『その男子って、金髪で背が高かった?』
「そうやで。背の方は座り込んてたから多分やけど」
『あいつ……』
そりゃ、現役バスケ部員でもその人数はボコられるだけやんな…。
頭を抱え込みたくなるのを我慢して宮地に話を戻す。
『近くに居るみたいやから連れて帰る。シャワーと救急箱の準備だけしといて』
<分かった。…頼むな>
電話切る直前に高尾と黒子の声も聞こえてきたから他のメンツは大丈夫みたいやな。
「あっ、あと女子の方はうちの学校に入学して来る子らやで。ご丁寧に制服着とったわ」
『了解。ありがとうな』
「いやいや、無事に片付いたら連絡だけ頂戴なー」
言い終わると帰っていく背中を見る。
…何時もは黄瀬を見る度キセリョ、キセリョってうるさいからちょい調子狂うわ。
けど、なんとなくで察してくれてほんま有難い。
流石、三佳やな。
さて、抜け道はうちもよく使うから道は分かるけど問題は何処で黄瀬をボコってるか…。
抜け道の方に走り出しながら、頭の片隅で考える。
女子が黄瀬をボコる理由…。
漫画のキャラとしての妬み?
けして黄瀬は優等生ってわけではないが、普通の人間だったら特にボコる理由が見つからない。
いや、男子ならそれこそ心当たりしか無いけどさ。
ひたすら足を動かし、走っていると嘲笑う人の声が聞こえてくる。
「だから、反撃してきてもいいんだよ?」
「うちらが一方的にやってても楽しくないし」
えっ…。
もしかして、全部反撃せずに…?
力が抜けて止まりそうになる足をもう少しだとスピードを上げると、うち学校のブレザーの集団…そしてその間から金髪が見える。
『ショウゴ!!』
自分でも何でこの名前が出てきたのかが分からない。
違う名前なら他にもあったやろ、テツヤとか清志とか和成とか。
けど、この名前が一番黄瀬がこっちを見そうではあるんやんな…。
やっぱり、名前のせいもあってこっちを見る黄瀬の目がこれ程かってぐらい見開かれてる。
女子たちもこちらを見る黄瀬の視線をたどってこちら見てきた。
「桜本 ほのか…」
『そうやけど?うちの親戚に何してくれてんのかな?ショウゴももうすぐ二十歳やねんからしっかりしてや』
「いや、そう言われても…」
睨みつけながら女子たちをよく見る。
確かに、見たことないから新入生か。
こんなんする奴らがいるから落ちた名門とか言われるんやろ。
未だに状況が伝わってないようで、目を丸くしたままの黄瀬の方に視線をやる。
『こうなるやろうから一人では外に出るなって言ったのに。未来に笑われても知らんからな』
「……かもな。悪いなわざわざ」
女子の間を歩いて、黄瀬に手を伸ばすとフラフラしながらも立ち上がった。
…黄瀬が空気読んで口調変えてくれたのはいいけど、こいつらうちの名前言ってから何も言ってない。
『って事なんで、入学早々に退学になりたく無かったら見逃してやるから消え失せろ』
軽く黄瀬を庇うようにまた睨むと顔を見合わせた後、何事も無かったかのように散り散りに去っていく女子たち。
…ほんま意味わからん。
「痛っ…」
女子たちが居なくなったのを確認してから振り返ると思った通り顔を青くしている。
『…ハァ。さっきも言ったけど、こうなるやろうから一人で何も付けずに出るなってうちは言った。それにアンタはいま右足怪我しとるやろ』
黄瀬の目の前にしゃがみこみ右足首を触るとさらに顔をしかめた。
『顔は大丈夫みたいやけどそのほかやばそうやな。さっさと帰んで』
たまたま入ってたタオルで足首を軽く固定して立つ。
「…なんで、来たんスか」
『逆に来たアカンのか?近くに居ったからもあるけど、宮地に頼まれたし』
不機嫌そうに言う黄瀬にゆっくり歩き出しながら言う。
「そう…っスか。あとオレ“黄瀬 涼太”スよ?」
足音でついて来ているのを確認しながら、前を向いてると視界の端に人影が入る。
『そうだっけ?咄嗟に従兄弟の名前が出たからそのまま言い続けただけや。…あっ、あと』
さっき足を固定したタオルと共に出てきたもう1枚のタオルを黄瀬に渡す。
『これ頭に掛けといて。この公園から出たら人いてもおかしないから』
受け取り、被ったのを確認してから携帯を出す。
えっと…[無事に救出]っと。
うわっ。
予想しとったけど既読付くの早いな!!
〜見え透いた嘘〜
[*前者]
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