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(歌・・・?)




城の中の一室。
現王の息子、イズサイトの部屋では。

怠け者王子イズサイトの教育係である、この国屈指の秀才マリード博士による、王子の為にのみ行われる講義の真っ最中だった。

しかし。
怠け者王子が聞いているはずもなく。

イズサイトは部屋で一番大きな窓の外を、頬杖をつき何気なく眺めている。
空は清んだ青。

博士の講義の声が永遠と響く中で、
(あ〜だりぃ。こんな天気の良い日になんで部屋で講義なんか聞かなきゃなんねぇんだよ。外で剣の稽古がしてぇ。)
王子はとても性格が悪い。

イズサイト。18歳。
この国の現王の次男。
黒目黒髪の整った容姿をした彼は、「ユースティの風」と呼ばれ国内外でも有名な人間だ。
「ユースティの風」。
こう言われる所以は、どんな敵も美しい剣技で倒す姿がまるで風のようであり、普段の立ち居振る舞いも美しいからだ。
・・・が。
この性格の悪さは、もちろん隠している。

(あ〜この博士、話長すぎるんだよ。うぜぇ。早く終われ〜。)

バサバサッ

(ん?)
ふいに、イズサイトが見ていた窓の外を、一羽の黒い鳥が横切った。
(カラス?それにしては、大きかったような・・・。)
「イズサイト様!!ちゃんと聞いてますか!?」
黒い鳥が通り過ぎた窓をジッと見ていたイズサイトの間に、マリード博士が割り込んできた。
(うわっ!!びっくりさせんなよ。)
しかし、そこは腹黒王子。
顔に出さずに、
「ちゃんと聞いていますよ、博士。ただ、この問題が難しくて、解くのに必死になってノートを見つめすぎたせいか、少しめまいがしてしまって・・・。ちょっと休憩しませんか?」
そして最後に軽くにっこり。
あたかも、『自分は講義を真剣に聞いて真剣に問題を解いました』的な雰囲気を装って。
この笑顔に、今までに一体何人が騙されてきた事か。
「そうですね!!この問題はとても複雑ですから、休憩のあとに解きましょう!!では、休憩にしましょうね!!王子、目は大丈夫ですか?」
マリード博士も騙されている人間の一人だった。
「はい、だいぶ楽になりました。でも、少し気分が悪くなったので、外の空気を吸ってきてもいいでしょうか?」
「もちろんですとも!!」
「ありがとうございます。」
イズサイトはゆっくりと自室の扉を開け、廊下に出る。
もちろん、気分が悪いというのは嘘なので、扉を閉めた瞬間、いつも通る、中庭への最短距離を走った。
(あんな勉強なんてやってられっかよ!!)


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あきゅろす。
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