P.21 *** 闇の中 常世の呪縛 眠る魂 待つのは必然 水の上 欠片の呪縛 眠る魂 待つのは運命 *** 「!!」 聞き覚えのある歌声が、はっきりと聞こえた。 イズサイトは音のする方を向こうとするが、塔の中で響いていて方向が判断できない。 「イズサイト?突然どうした?」 「歌声が!あの歌声が聞こえたんだ!!」 ノーギュの問いに叫んで答えながら、辺りをキョロキョロと見回す。 「歌声?そんなの聞こえなかったぞ?空耳じゃないのか?」 「え?…いや、そんなはずは…確かに聞こえたんだ!」 「でもオレには聞こえなかったぞ?」 (どうして…!?確かにあの歌声が…) イズサイトは眉根を寄せて俯く。 おかしい。 自分だけに聞こえる? どうして。 確かに聞こえた? 勘違いじゃない。 イズサイトは目を閉じ、耳を澄まして集中する。 まるで、空気と闇と自分を一体化するように。 *** 風は淀み 心は荒み 残る世界は −−よの−きしか −か−−みら−− *** 「聞こえた!!」 (勘違いでも聞き間違いでもない!) 目を開けてイズサイトは確信を言葉にする。 わずかに聞き取れない部分はあるが、確かに聞こえたのは、あの歌声。 昼間、そしてあの夢の中で聞いたもの。 「ノーギュ!もっと光を大きくしてくれ!!」 「は?どうしたんだよ?」 「いいから早く!この建物の中を照らすくらい大きな炎を頼む!」 「だからなんだって言うんだよ!?あーもー、とりあえず、イズサイト!オレから離れろ!!」 イズサイトの肩から飛び降りながら叫び、ノーギュはそのまま階段を数歩昇り、両手で炎を掴む。 言われたとおりノーギュから距離をとろうと、イズサイトはノーギュと逆の後ろに飛んで下がる。 イズサイトが飛び退くのを背中で感じ取ったノーギュはそのまま両の掌に炎を押し込むように力を込め、腕を空中に伸ばす。 「炎よ、風よ、光よ!讃え、踊り、煌めけ!!!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |