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「…気のせい?いや、でも確かに聞こえたはず…」
イズサイトは独り言を言いながら、辺りを見回す。
いつまでたっても暗闇に目が慣れないが、何か見えるかもというかすかな希望をもって、イズサイトは羽音の正体を探し続ける。

バサ…バサバサァァ……ッ

「いた!」
再び羽音が聞こえ、音のした方向に目を向けたイズサイトが見たのは、黒い、鳥。
カラスより少し大きいような姿でイズサイトから少し離れた所で旋回している。
鋭い黒の嘴(くちばし)と闇の中なのに輝いている二つの瞳。
全身も真っ黒で闇と同化しているが、体中に生えている羽根が黒光りしていて、闇の中でもその存在がわかる。
その鳥は、闇の中で、光っているようだった。
光もないのに、黒く輝き、存在感がある。
イズサイトは、その鳥に駆け寄る。
鳥はイズサイトに気付いているのか、イズサイトが近付くと、旋回をやめ、空中に舞い降りた。
何もない空間に、鳥が止まっている。
その奇妙な光景に、イズサイトは思わず駆け寄るのをやめ、足を止める。
「なんで、空中に…」
イズサイトが言葉を発した瞬間、鳥の嘴が開かれ。
「人間の王子。運命の王子。お前は、その運命を受け入れる気があるか」
「!?」
黒い鳥は、確かに、嘴で器用に言葉を紡いだ。
「と、鳥が喋ったぁぁ!?」
「うるさいぞ、わめくな、質問に答えろ」
鳥はその黒の瞳でイズサイトを睨み、一喝する。
「え、あ、すいません。………って、なんで俺は鳥に謝ってんだ?つか、人語を解して人語を喋る鳥なんて聞いたことねぇぞ!なんだ、お前!」
「だから、うるさいと言ってるだろう。鳥が人語を解して喋って何が悪い!?というか、いい加減、質問に答えろ、ばか王子!」
「ば…!ばかとはなんだ!?失礼な鳥だな、お前!!人に質問するならまず名乗れよ!!それから、質問の意味がよく分かんないんだけど!」
イズサイトは一気に言うと、自分の目の位置より少し低い所に止まっている鳥を睨んだ。

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あきゅろす。
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