短編2
ニコイチ
俺のひとつ違いの従妹は研磨にそっくりだ。
仕草、クセ
誰に対しても"かりてきたネコ"のような消極的な態度。(俺に対してはそんなことねーぞ、絶対にな)
で、研磨も奈瑠も人好きする性格とは言えねぇから似た者同士、
仲良くできっかな、いやしてほしいと俺は二人を引き合わせたワケだ。
ワケだが。
「……研磨。」
「奈瑠。今日サムイね。入っていいよ」
「うん。秋だね、」
「うん。奈瑠は温いね」
「そうかな。秋のにおいする」
「わかるの?あ、見て、記録また更新できた」
「研磨は凄いね」
「……そんなことないって」
「そうなの?」
「うん。」
「ふぅん。」
「うん。」
仲良過ぎねぇ?
なぁ、出会って3年以上は経ってるけどさ、年頃の男女がひとつの布団入って
ピロートーク(※語弊)してんじゃねぇ!!
奈瑠俺が布団入れば怒るクセして!
誤算だ。仲良くおしゃべりしてくれるのは仲を取り持った俺としちゃあ、喜ぶところ、いや最初のころはそうだったけど
今や俺の中じゃ研磨は完全なライバルだ、くそ!
「……なぁ、奈瑠、研磨」
「なに、」「何?」
ニコイチか!!
「俺もそこ入れろよ」
「いやだ」「嫌。」
「(負けネェ、)俺も寒ィもん」
「黒はひとにベタベタするからダメ」
「クロは図体デカイから狭い。ダメ」
くそがぁぁぁ!!
ひとり膝を落とし項垂れる俺をよそに、二人はこしょこしょ内緒話なんてしてやがる
普通に寂しい!
「(いじけた)」
「(いじけたね)」
「(仲間に入れてあげよう)」
「(えー……じゃあ奈瑠呼んであげて)」
「(えー、)」
「(俺ゲーム急がしいもん)」
「……。ね、黒。」
奈瑠に呼ばれて顔をあげるとベッドの上でバンザイしてた。
「おいでおいで。」
"「喜んでェ!!」"
本気で慎ましやかな胸に飛び込んだら鳩尾蹴られた。
【ニコイチ】
******************
てんでクロの気持ちに気づかないイトコちゃんと
気がついてるけど面倒だからこのままがいい研磨と
やっぱり二人とも可愛い黒尾
ニコイチって本来の意味なんだっけ。
20140914
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