王者立海生の日常
三日目
赤「あのよ…よもぎ、俺」
『キリちゃん、ごめん』
それまで前を歩いていたよもぎが、赤也を振り返る
大きな鳶色の瞳が、赤也の目を見据える
『キリちゃんのこと、傷つけて』
赤「俺…おれは、」
『わたし、ほんとは、皆のこと、一番に応援してた。それを、もっと声に出したかった』
赤「!…………。」
『でも、なんだか時々すごく悲しくなって、できなくて、皆はもっと苦しいはずだったのに』
赤「…………………………………………………………………………。」
『でも、皆がテニス楽しそうにテニスしてるのは大好きで、あっでも、それだけじゃダメなんだよね?だから、えーと……あれ?何が言いたかったんだっけ?
んー………昨日寝るときまとめたのにな………だからー、
………ごめん、今どこまで話したっけ?』
赤「…もういいよ」
赤也が一歩歩きだした。
『!!キリちゃん待っ………………………!!?』
気付けば、よもぎは赤也の腕の中にいた。
『キリちゃん、……ねっ、キリちゃん!?ちょっとこれ………………ッ!?』
赤「……………放してやんねーからな」
赤也が、よもぎを抱きしめる腕の力を更に込める
『ちょっと…………、「ありがとな、」…………?』
―――――――――――――みんなのこと、一番応援してた
―――――――――――――皆が楽しそうにテニスしてるのは大好きで、―――――――――――
「………………それだけ聞ければ十分。」
『………………?わたし、ほとんどちゃんと言えなかったんだけど……』
腕の中の不思議そうにしているよもぎの頭をくしゃしゃっと撫でる
赤「いーんだって。多分、何回やったって上手くいかねーよ、お前こういう時プレッシャー弱いから。スゲー不器用じゃん」
『狽サんなことないよ!!』
赤「そーだって。もう、行こうぜ」
そう言って、ようやく腕から解放される
「……………こっちこそごめん…………ありがとな、よもぎ」
そう言ってはにかむ赤也の笑顔は、よもぎの一番望んでいた笑顔だった
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