降谷に抱かれて(裏夢小説)
長い、ディープキス
適当に小奇麗そうなホテルに入ると、零は、慣れた手つきで部屋を選ぶ。
二人は寄り添っているものの、急に無口になってしまった。お互い緊張しているのだろうか。
部屋に入ると、零はさっさと、鞄を放り投げ、上着を脱ぎベッドに腰掛け、ネクタイを緩め一息つく。
美紀は、なんとなく入り口付近に立ったまま、その姿を眺めていた。『やっぱりかっこいいなぁ。』そんなことを考えながら。
「立ってないで、こっち来なよ。」
その言葉に突き動かされ、美紀はバッグを置き、ベッドに近づく。
零は、ガバっと美紀を抱き寄せると、そのままベッドに押し倒した。
「キャッ!」
突然の動きに軽く悲鳴を上げる美紀の唇を、零の唇が塞ぐ。
「んっ!」
長い、長い、ディープキス。
「んんっ・・・ふっ・・・んぁ。」
美紀が息苦しさから逃れようとすると、不意に左耳に息を吹きかけられる。
「あっ!」
「左耳が、弱いって本当だな。」
零が面白そうに言う。そういえば、かつてそんな話をしたことがあったかも。よく覚えているものだと美紀は感心する。
「シャワー、先浴びる?」
「ん、先に行ってください。」
「わかった。」
零といったん離れ、一人になった美紀は、もう一度冷静になって考えようとしていた。
本当にこのまま関係を持ってしまっていいのか。まだ、止められるんじゃないのか。
答えはわかっていた。ここまで来ているのだ、自分でも零とヤリたいと、本能で思ってしまっていたのだ。
「先どうも。早く行ってきなよ。」
バスローブ一枚の、零がバスルームから出てきた。
高鳴る心拍数に、なるべくその姿を見ないように美紀もバスルームへ向かう。
「あ、美紀、俺の好みわかってるよね?」
そんな美紀に零が声をかける。
『俺の好み?』一瞬、首を傾げた美紀だったが、すぐに思い出した。
自分の左耳が弱いという話をしていた時に、女の子がシャワーから出てくるときは、下着をつけないで、バスタオルを巻いて出てくるのが一番良い。という話をしたのだった。
コクンとうなづくと美紀はシャワーに向かった。
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