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悪魔も喘ぐ夜
*


「おにーちゃんっ」


 ぎゅううっ

 リビングのソファーに座ってテレビをつ

けると後からやってきた麗が笑顔で抱き着

いてきた。

 つい今も昼食の片付けを二人で済ませた

ばかりで、今朝旅行に行く両親を見送って

から麗はずっとご機嫌で俺から離れようと

しない。


 GW中、兄貴の通う塾では特別講習があ

るらしくて、両親より先に家を出た兄貴は

夕方まで帰ってこない。

 つまり麗は完全に俺を独り占めできるこ

の時間が嬉しくてたまらないようだ。

 声のトーンがいつもより明るいのは気の

せいじゃないだろう。


 でもいくら好きだからって、ずっとくっ

ついてて飽きないんだろうか…。


「麗、くすぐったいよ」

「えへへ。ごめんなさ〜い」


 テレビを観ている俺の首筋に頬擦りしな

がら、ちっとも反省してない声で返事が返

ってくる。


 それでも物足りなくなったのか、今度は

俺の膝の上に馬乗りになってきて首筋に顔

を埋めて目の前の肌を少しずつ場所をずら

しながら甘噛みしてくる。

 麗の“おねだり”のサインだ。





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