悪魔も喘ぐ夜
*
「いや、だぁッ!見ないで…ッ!」
その目を塞いでしまいたい。
耳も、唇も。
こんな姿をじっと見つめて、麗が何を言
うのか怖くてたまらない。
誰か…誰でもいいから、こんなのは悪い
夢だって言ってくれ…!
「お兄ちゃん…ぼくのこと、好き?」
こんな時に何を、と思った。
なんでここにきてそれを言うのか、と。
今、兄貴に貫かれて喘ぐことをやめられ
ない俺に。
「ねぇ、好き?」
麗は重ねて聞いてくる。
それが重要みたいに。
「ひぁッ!壊れるっ…!」
不意に兄貴のストロークが長く激しくな
り理性に引きずられてズルズルと停滞して
いた体が一気に絶頂へと追い上げられる。
「ねぇ、お兄ちゃん。
ぼくのこと、好き?」
「あッ、はぁッ、好きっ、あッ、好きだけ
どっ、あぁッ、今はっ」
追い詰められた自分が何を言っているの
か分からない。
“兄弟として好き”がまともに言葉に出
来ずに、兄貴にいいように揺さぶられてし
まう。
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