悪魔も喘ぐ夜
*
「痛くしてますから、当然でしょうね。
駆、僕に何か言うことは?」
痛みから解放されたくて思考が回転する
が、痛みが強すぎて考えるどころではな
い。
「わかんない…っ」
ひきつる喉から懸命に絞り出して、痛い
のは嫌だと首を横に振った。
「じゃあもう二度と麗を…僕以外の人間を
ベッドに入れないと誓いなさい。今すぐ
に」
後から麗が入ってきたのにっ…
「違っ…。
寝てたら、麗が入ってきて…っ」
兄貴を牽制する為にわざと麗を招き入れ
たのではないと絞り出す声で訴えながら、
突起を爪先で苛まれて痛みのあまりじわり
と目尻に涙が浮かんだ。
俺の言い分を聞いて…あるいは浮かんだ
涙を見て溜飲を下げたのか、兄貴の手が止
まった。
痛みから解放された体は息を吐き出しな
がらようやく弛緩し、浮かんでいた涙が目
尻から零れ落ちた。
今夜どうしても体を弄るというなら、せ
めて優しくしてほしい。
怒り任せにして本当に痛いだけなんて辛
すぎる。
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