悪魔も喘ぐ夜
*
カラオケで一晩明かすかなぁ…。
こんな体でこれ以上の無茶なんて、どっ
ちが相手でも勘弁してほしい。
カラオケに一晩逃げ込んでしまえば、明
日の夕方か夜には両親が帰ってくる。
考えれば考えるだけ、それがいいような
気がしてきてしまうのは、もう考えること
すら嫌になっているからだ。
それか…。
兄貴も昨日は無茶をしているはず。
ろくに寝ていない体で1日講習を受けて
きたんだ。
今夜まで続けて無理はしないはずだ。
もし麗が部屋に入ってきたとしても、ま
さか寝込みをこんな体の俺を襲うような真
似はしないはず。
そう思って、一晩寝たふりを貫き通す
か、だ。
チラリと時計を確認する。
なんたって今は腰が辛い。
家を出る前に捕まってしまえば、逃げら
れない。
時計はすでに9時を回っている。
いくら休日でも、こんな時間にいきなり
出かけたら不自然だろうか。
置きっぱなしになっていた携帯を手に取
り、メールを確認する。
着ていたのは広告メールだけで、全部削
除して携帯を閉じた。
いくらなんでも、今から友達にメールし
て今すぐカラオケに行こうなんて言っても
誰も付き合ってはくれないだろう。
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