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悪魔も喘ぐ夜
*


 “ぼくが夕食作るから、お兄ちゃんは寝

てて?”

 そんな麗の言葉に甘えた。

 まともに動き回れないのにキッチンに立

っても邪魔だろう。


 だから夕食ができるのを待つ間、一人で

ベッドに転がっていた。



 “…麗には一度思い知らせなければいけな

いでしょうね。

 思い上がって、のぼせているようですか

ら”


 耳の奥で兄貴の声がこだまする。

 背筋に嫌なものが走った。

 言っていた内容はひどく現実味がない

のに、やると言った以上は兄貴はやる人

だから。


 賭けには確かに負けた。

 でも兄貴の言い分はあんまりだ。

 売り言葉に買い言葉で兄貴と賭けなんか

してしまった俺も悪いけども。


「〜〜〜っ」


 うん。確かにそこが悪い。

 賭けなんか受けなければ…勝てる賭けし

か仕掛けない兄貴の賭けなんか受けなけれ

ばこんなことにはならなかったのだろうけ

れど。


 凹みそうになって、“いや、でも”と思

い直す。

 変えられない過去に対する後悔は繰り返

しても無駄だ。

 “今からどうするか”を考えないと。





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あきゅろす。
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