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悪魔も喘ぐ夜
*


 何がそんなに麗を駆り立てるのだろう。

 孤独か、不安か…。

 これだけ愛くるしい容姿で生まれて、何

不自由なく育って…それなのに何故求める

対象が俺なんだ…。

 今までだって、きっとこれからだって、

麗を愛する人間はいくらでもいるだろう。

 それなのに、何故…。


「麗…俺は何処にも行かない。

 麗をおいて何処にも行かない。

 何がそんなに不安なんだ…?」


 その目を見つめて静かに尋ねる。

 しかし麗は迷いあぐねたであろう末に首

を横に振った。


「わかんない…。

 でも不安なんだ…」


「…もっといろんなものに触れてごらん。

 いろんなものを知ってごらん。

 世界が広がれば、その不安は消えるよ」


 だから言い聞かせる。

 世界はそんなに怖くないと。

 闇雲に怖がるだけが身を守る手段ではな

いと。




「それでも…それでもお兄ちゃんが一番だ

 ったら、お兄ちゃんはぼくのものになっ

 てくれる?

 兄さんにも、他の誰にもとられない、ぼ

 くだけのものに」


「さぁ…それはどうだろう?」


 苦笑いで返すしかない。

 そんなの、その時になってみなければわ

からない。

 麗が本当にまだ俺を好きでいるのか。

 俺がその時誰を好きになっているのか。

 それともまだ誰も心にはいないのか…。


 それはきっと…神のみぞ、知る。






[*前]

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