お美脚
今日も、暁としての任務。
ですが、今回は昼間より動きやすい夜に出向く事となります。暗闇で敵を欺くのもまた任務遂行のための作戦。
という訳もあり、現在は宿の方で陽が沈むのを待っています。
時刻は午後三時、…まだまだ時間がありますね。
「イタチさん、今のうちに夜に備えての仮眠をとっておいた方が宜しいですよ」
「…そうだな」
私は布団を用意しようと押入れから一式の布団を取出し、両手で担いでくるりと振り返った時。
「…イタチさん、」
私が布団を敷く前に、畳の上で横たえて既に寝息を立てるイタチさんの姿が。
…この方は睡眠というものが実に極端で、眠らない時は全く眠らず、眠る時はこうしてすぐに眠りに落ちてしまうのです。
こんな不規則な睡眠が当たり前となってきた事に、…私は時々心配でたまらなくなります。
「……イタチさん、布団で眠りませんと体に悪いですよ」
そんな事を言っても眠りの世界から覚めないと知っていた上で言ってみる。
その通りで全く起きないイタチさん。
「仕方ありませんね、脚まで出して………、…あし?」
…そうです。
あらら、わざわざズボンの裾を巻くし上げて無防備に脚を投げ出して…。寛ぎモード全開ですね。
「………」
それにしても、イタチさんの脚…女性に引けをとらない程綺麗です。いつもズボンに隠れてなかなか見れませんから。
色も白くて、曲線と引き締まりの比が実に素晴らしい。見事です…。
「…何を考えているんですか私は」
はあ、と自分に呆れのため息を一つ。
とにかくイタチさんの体を冷やさないために、布団で寝かせてあげなければ。
「よいしょっと…」
…軽いです、イタチさん。
本当にこの細い体のどこにあの底力があるのでしょうかね…。
背と脚を支えた、世間で言うお姫様抱っこで抱き上げたものですから、ちゃっかりイタチさんの脚(まあ…膝の裏なんですが)に触ってしまった事に若干舞い上がっています私。
その顔で変態はキツいぞ。
心のどこかで意地悪なあの人達の声が聞こえたような気がしました…。
無視です、無視。
こういう時ぐらい、好きに考えさせて下さいよ。
私も彼を慕う、オトコなんですから。
敷いた布団の上にゆっくりとイタチさんを下ろす。目に掛かった前髪を整えて、掛け布団を掛ける。
しばしの間、イタチさんの顔を見つめた。
「おやすみなさい」
せめて…この時間だけでも、ゆっくりと休んで下さいね。
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