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確かな永遠(とわ)



「…よし、やっと完成だ」


蝋燭の点り一つの部屋内。
ふと時計に目をやれば、午前三時の真夜中を指していた。


「…、また日付跨いじまったか…」


いつも傀儡の整備に集中しすぎると周りが見えなくなるのがオレの悪い癖だ

周りを見渡せば整備完了のもの、途中のものとばらばらに置かれている傀儡の群衆。
サソリは一つため息を零したのち自室を後にした。


ここは暁のアジトで一番最上の簡易のベランダ。
壁にもたれ、サソリは虫の涼やかな鳴き声を耳に通し顎を僅かばかり上げて暗い満天の星空を眺めた。


「……、…」


星の輝きは一瞬
永遠と輝き続けている星なんてありはしない

月もそうだ
美しい輝きを放ってこそ存在意義があるというのに、太陽が沈めばその光を失う

草木にも限られた命しかない
いずれそれは朽ちていく

大気もいつまでもそこに留まりはしない
日々流動し、同じものなんて一つとしてないんだ


オレの周囲には、永遠なんてものが存在しない
神が創ったであろうこの世界の真理、理、法則でさえ永遠の文字は記されてはいない


…こんな世界、反吐が出る


「…っ!」
誰か来る?

こんな遅くに誰だ…


「お!サソリの旦那」

「デイダラ…」


こんな遅くにどうしたと訊くと、なんか…目が覚めたと苦笑いをする
旦那こそどうしたんだと訊かれると、オレもそんな感じだと答えた


「うおー、すげーよなここの星空!ここがアジトの中でイッチバン綺麗な場所のような気がするよ、うん!」

「は…、何だそりゃ」


手摺りに身を乗り出し無邪気な顔で星を眺めるデイダラ。時折目を細めるくらいに微笑み、軽くぴょこぴょことジャンプを繰り返す。


「……」


オレがさっきまでどんな事を考えていたかなんて分かんねぇんだろうな…

きっとお前の周りには、一瞬の世界が余る程あるから、そうやって笑っていられるんだろう

嫉妬…?

は…、下らねぇ
何でオレがそんなもん感じなきゃいけねぇんだ、しかもガキ相手に

本当に、下らねぇ……


「旦那?」

「っ…!な、何だ…」

「いや、なんか辛そうな顔してたからよ、うん」

「…何でもない」


そう言ってぷいっとそっぽを向く。
その間デイダラは顔を背けたサソリの隣に並ぶ。

しばらくしたあと、サソリはゆっくりと顔をデイダラの方に向けた。

デイダラはにっこりと笑う。
サソリは眉一つ動かさずにデイダラの目を見続けた。

と、その時。


「…な、デイ…?」

「へっへへー」


「…頭重いっつーの」


オレの頭にデイダラの頭の重力がかかる
それでも奴はお構いなしに和みモードだ


「えへへ、サソリの…旦那」


あ…

今、ぴんときた


たとえ世界中に永遠が存在しなかったとしても

コイツさえいればいい

いつまでも一緒にいてくれていたら

それでいいんだ…


「デイダラ」

「うん?」


お前には不謹慎だが…


オレは、お前に永遠をみたぜ




翌朝

「へっくし!」

「ベランダで寝る奴があるか馬鹿者が」

「クソーッ!何で旦那は風邪ひかねーんだよ!」

「傀儡だからな」

「クッソーッ!」





gu da gu da。すみませ…。

ちなみにデイのくしゃみの後の台詞はペインです。分かりにくっ。






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