サソリとデイダラ2
暁に入って二日目。
与えられた慣れない部屋とベッドのせいでなかなか寝付けずにいたオイラは…案の定、
「ぁああーーーーッ!!」
暁としての初任務前に大寝坊。簡単な身支度をする時間しか残されていなかった。
「くっそー!何で誰も起こしてくれねーんだよッ!」
「他人の目覚ましをするお人好しはここにはいない。……初日から大変だな、デイダラ」
「イタチ!…て、勝手に部屋入るなよ、うん!
別に大変じゃねーよ。ギリギリだけど、これなら時間には間に合う!」
「そういう意味で言ったのではない」
「はあ…?…と、ここでお前と話してたら本当に遅刻だ!オラどけッ!」
オイラは暁のマントを手で持ちながら廊下をバタバタと走る。よし、なんとか時間には間に合った。玄関先で急ブレーキ。時間ぴったりって所だ。
「よし完ぺきだ…って、アレ?
見当たらないな、アイツ。まだ来てねーのかな、うん…」
「ああ、デイダラさん。サソリさんならもう先に行きましたよ」
…………
なにィーーーッ!!?
なんでだよ!ギリギリだけど時間には間に合っただろ!?なんでオイラを置いて行っちまってんだよー!ワケ分かんねッ!
オイラは舌打ちを一つ、持っていたマントに袖を通す。すぐに追い付くために全速力で走って行った。
「…見つけた!」
あの変な人形に入って歩いてやがる。オイラは先回りをして木の上から地面に着地し目の前に立ち塞がってやった。
「…あ?」
「オイ!何でオイラを置いて行くんだ、うん!」
「…時間までに来なかったお前がわりぃんだろうが」
「ちゃんと間に合ってたって!寝坊はしたけどよ!」
「オレが来る時間をちゃんと把握し間に合うようにしろ。…でなきゃ今日みてぇに置いてくからな。オレは人を待つ寛大な心は持ってねぇ」
な、なんて自己中な奴…。先行きがどんどん不安になるな…。
「覚えておけ。…オレは待つのも待たせるのも嫌いだ」
「……へいへい」
昨日リーダーから伝えられた、暁に入ってからの初任務。小規模の里で伝わっている尾獣に関する内容を手に入れる…いわゆる情報収集だ。隠密行動となればオイラの芸術を披露することも出来ない…。それに戦闘のない任務とは、ナメられたもんだ、うん。真っ先にこのガキだかおっさんだか分かんねーコイツにオイラの実力と芸術美を見せてアッと言わせてーのに…。
「なあ」
「…何だ」
「何でそんなもんに入って行動してるんだ、うん?」
…引きこもり?
「……お前…」
「え?」
「芸術は爆発、とか何とか吐かしてたな」
無視かよ…
「オイラの芸術にケチつけるのか、うん」
「芸術、ねぇ…」
…何が言いたいかさっぱり読めないな、コイツ…
「オラ、話し込んでるうちに目的の里に着いたぜ」
「お」
任務は隠密だけど、いざとなったらぜってーオイラの芸術で驚かせてやる!よーし、しっかり見てろよ!
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