師匠シリーズ漫画化決定!
ウ「師匠、漫画化決定です!」
師「今度は本当らしいな」
ウ「9月馬鹿ではありません!」
師「なのにオトコオンナとか他に誰も来てないのはなぜだ」
ウ「狼少年現象でしょうか」
師「ちゃんと今度はホントってみんなに言ったか?」
ウ「言いましたよ!」
師「お前の言葉は信用がないな」
ウ「師匠が前回騙されて集まったメンバーをバカにしすぎたのが原因でしょう!」
師「からかったのはお前もだろ! それにしても誰か一人くらい来てないのか」
ウ「……みかっちさんがウロウロしていますね。こっちをチラチラ見てます」
師「おおい。こっちこいよ」
ウ「あ、逃げた」
師「なんで逃げるんだ」
ウ「……」
師「どうしよう」
ウ「とりあえず僕らだけでもやるしかないでしょう。漫画化されるのは少年画報社さんの月刊誌ヤングキングアワーズで、10月30日発行の12月号から巻頭カラーで新連載スタートです! 9月30日発行の11月号で告知されています」
師「ネットでちょっと知られてるからって、思い切ったな」
ウ「原作ウニ、ということで、漫画を描いてくださるのは片山愁さんです」
師「片山先生、イケメンに描いてください! こいつはひょろっとした感じで、いやもう、なよっと、ぺろっとした感じで、是非。それにしてもP.N.がウニって…… ほんとにそれで行くのか」
ウ「こんなことになるなら、最初にもう少し考えて名前をつければ良かったですね」
師「なんでウニにしたのか本人にも記憶がないらしいな」
ウ「アワーズと言えば、作者の好きな石黒先生の『それでも町は廻っている』が連載されていますね」
師「あいつ昔から常に枕元に全巻置いて寝てるぞ」
ウ「まさか恐れ多くも同じ誌面に載ることになるとは。人生なにが起こるか分かりませんね」
師「ついこのあいだ上京した時、たまたま通りがかったあたりで『それ町』の舞台のシーサイドのモデルになった喫茶店があってびっくりしたらしい」
ウ「あと、アワーズではアニメ化される『蒼き鋼のアルペジオ』が気になってるようです。アニメのOPのPVめっちゃかっこいいと言っていたのに、地元では放送されないらしく、ぐったりしています」
師「おお、あのドリフターズとかもやってるんだな」
ウ「師匠シリーズの連載がはじまってからアワーズの売り上げが落ちたなんてことになったら生きた心地がしないので、みなさんアワーズ買って下さい!」
師「本当に怯えているらしいな」
ウ「11月号からは冲方丁原作の近藤るるる先生の『ガーゴイル』もはじまります! アワーズ買ってください。お願いします! 地元の書店になかったら取り寄せてでも……」
師「ちょっと。ちょっと落ち着こう。感化されて怯えすぎ」
ウ「(ぶるぶる)」
師「大丈夫だって。な」
ウ「……」
師「それにしても他のメンバーはどこに行ったんだ! もう始まるぞ」
ウ「あっちの物陰にみかっちさんが隠れてますね」
師「隠れてるのはオトコオンナじゃないか?」
ウ「いや、歩くさんかも。……とりあえずは僕ら二人でやるしかなさそうですね」
師「ようし。とにかくお前をいじめればいいんだな」
ウ「いじっ……?」
師「そうだ。漫画化記念の景気づけに怖い話を一つしようか」
ウ「珍しいですね。どんな話ですか」
師「知り合いから聞いた話だけど。その人は二階建ての一軒家の一階に自分の部屋があってね。夜中パソコンをいじってたら、家の外から変な声が聞こえてくるんだ」
ウ「どんな?」
師「おーっ、ていう、うめき声みたいな大きな声が。障子を開けて外を見てみたけど、暗くてなにも見えない。隣の家は明かりが消えて寝静まっている。でもどうやらその隣の家から聞えてきてるみたいだ。また聞えた。おーっ……」
ウ「なんでしょうね」
師「角度的には隣の家の二階のあたりから聞えたみたいだった。じっと見てると二階に明かりがついた。覗いていることがばれたらいけないような気がして、とっさに障子をしめた。それでも隙間から見てると、明かりは消えて、また静かになった」
ウ「それでどうなったんです」
師「その夜はそれだけ。でもその後も時々夜中にそんなうめき声が隣の家から聞えてきた。実はね。その家のおじいちゃんが倒れてから、自宅介護をしていたらしいんだ。最近まで結構元気で、顔を合わせれば挨拶もしてたのに。まあ年をとると、ただの風邪でもぽっくりいくからね。家族は大変だったと思うよ。夜中にあんな声で起こされちゃあ……」
ウ「そうですねえ。でもそれがなんで怖い話なんですか」
師「それがね。そんなことが続いていたある日とうとうおじいちゃんが亡くなってね。お通夜もその家でやったんだ。その人は近所づきあいでお焼香だけして自分の家に戻って、障子の隙間から隣の家を見ていた。ガヤガヤした人の気配がだんだん少なくなってきて、灯篭の灯も消えた。夜の二時を過ぎたころだったか。また聞えたんだ。おーっ、という声が」
ウ「え」
師「隣の家に明かりがついた。その人は怖くなってパソコンの電源を落とし、もう寝ることにした。それから何週間か経って、夜中にパソコンをいじっているとまたおーっ、っていう声が聞えるんだ」
ウ「同じ声ですか」
師「そう。恐々と障子を開けて、外をうかがうけどあたりは真っ暗。隣の家も寝静まっている。なんだったんだ、今のは、と思いながらじっと様子を伺っていると、また聞えた。おーっ、といううめき声が。でもどうやら、隣の家の二階からじゃないみたいだ。角度的には二階なんだけど、もっと近い。そう。自分の家の二階から聞えて来ていた」
ウ「ど、どういうことですか」
師「すぐに二階に上がったけど、自分の両親は部屋で寝ている。なんの異常もない。隣のおじいちゃんの霊が迷っているにしても、こっちの家に出てこなくてもいいじゃないか! 怖い気持と、理不尽さへの怒りが両方湧き上がってきて、ひどく気分が悪かった」
ウ「気持ち悪いですね」
師「それで、思い切って隣の家の人に聞いてみたんだ。おじいちゃんのことを。通夜の夜にも同じ声がしていたから。するとこんなことを言うんだ。『あの声はねえ。なんなんでしょうねえ。本当に怖かったですねえ。どこからともなく家の中に響いて。おじいちゃんも怖がってましてねえ。それから体調が急に悪くなって……』」
ウ「あの…… それって、現在進行形の作者の話なんじゃないですか」
師「そう。夜中パソコンで師匠シリーズを書いてると、口笛を吹きながら二階から降りてくる足音が聞えたりもしてるぞ! もちろん家族はみんな寝ているのに!」
ウ「そんな状態で漫画化とかして大丈夫なんですかね。よくホラー小説や漫画をかくときにはお祓いするとか聞きますけど」
師「祟られた方がネタが出来ていいんじゃないか」
ウ「最近はリアルで廃屋の仏壇をぶっこわしたり、将門の首塚を撫で回したり、結構バチ当たりしてますね」
師「でもこの間、伊勢神宮に参拝してきたみたいじゃないか」
ウ「式年遷宮前の旧正殿前で座禅組んでて怒られたらしいので、御加護はないと思いますよ。作者の身になにかあったら、その続報もお楽しみに!」
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