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100%の管理
明日は打ち合わせ。

「明日は午後2時からOMTプロダクションの大牟田様と3月のイベントの件で打ち合わせが」
「ダメ。荷が重過ぎます。どうして私が」


短い溜め息を吐いて、僅かにカップに残っていた紅茶を飲み干す。
憂鬱だ、とても。せっかくつい先程一仕事終えたばかりなのに。


「会長は」
「別件で東京を離れておいでです」
「社長は」
「外せない会議があるとか」


会長は私の父、社長は私の兄だ。
ここまで言えば分かると思うが我が家はとある会社を経営している。
取り立てて大きな所ではないものの、お陰様で最近株を上げている企業の一つだ。

大学に通う傍ら業務に精を出していたが遂に今年で卒業、私は副社長として本格的に腰を据えることになった。
隣に座って手帳を読み上げているのは、私が業務に携わるようになってからずっとサポートしてくれている、秘書の伊織さんだ。


「会長から副社長へ直々のご依頼ですよ」
「…会長は私がスーパーヒロインだとでも思ってるのでしょうか」


天下の大牟田グループの、しかもその中でも中核を担うプロダクションの社長様との打ち合わせ。
そりゃあ、七光りと言われるのも癪なので必死に学んで成果も上げてはきたが、いくらなんでも事が大きすぎる。


「副社長、会長は貴女に期待してらっしゃるのです」
「…分かってます。それが重いんです」


伊織さんは少しだけ困った顔をして、膝の上で持て余していた私の手を握った。
そして私にぴたりと寄り添い、整った顔を少しだけ近付ける。


「雪耶さん」


まずい。
勤務時にも関わらず私を「副社長」ではなくこう呼ぶ時の伊織さんは非常にまずい状態だ。


「…いえ、大丈夫です、はい、私頑張ります」
「無理はなさらないで結構ですよ。私が…」


薄い唇は弧を描き、レンズの奥の瞳は私を真っ直ぐに捉えながら細められる。


「勇気付けて差し上げますからね」


そのまま間髪入れずに押し付けられた唇。
それが離れたかと思えば眼前に広がるのは白い天井と、ワイシャツのボタンを外しながら微笑む美人秘書だった。



有能な秘書による効率のいいやり方




(ではまず、少しばかり臆病な心臓にマッサージでも)
(ギャグになってませんなってません)








※元気になっちゃうのは伊織の方だったりして。

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