愛してマスター!
ちょっかい。
んー…今日は今一つ、スキンシップが足りない。
抱き付きついでにお尻の一つでも触ってやろうと、大好きなあの人を捜して歩く。
するとリビングのソファーにうつ伏せのまま、どうやら電話でお話し中のマスター。
ぱたぱた交互に動く足がとっても可愛い。
気づかれないようにそぉっと近づいて、突然彼女の背中に(もちろん羽を使って加減するわよ)ダイブした。
「ふぎゃあ!!」
ホントに漫画みたいな声で、マスターは叫んだ。
あんまりおかしくて、あたしはマスターの背中の上でクスクスと笑う。
「キュナ!?え、いや違うの、あの前、話した女の子が、いきなり」
マスターは相当テンパっているようで、何度も言葉に詰まりながら状況を説明しようとしている。
「うんあの…ッむ…ごめん、動悸が」
携帯のスピーカー越しにも愉快そうな笑い声。
ちょっぴり気恥ずかしそうに縮まった背中に、「にゃー」なんて言いながらすり寄る。
「ひゃうっ!?」
その途端、びくんと身体をしならせて声を上げるマスター。
予想外の反応、しかも何だかかなり…
「あ…ッもぉ…背中くすぐったいよキュナぁ…」
エッロい…!!
心臓はドキドキ、アドレナリンは全開。
あたしは彼女のシャツをぺろんと捲り上げ、白い肌を露わにさせた。
「ちょ、キュナ!?あ、悪戯を、うんその子が」
今の体勢、そして電話中とあっては反撃されにくい。
ふふ、だからあたし、ちょっと調子乗っちゃいますね。
「んく…ッ!だ、大丈夫…」
軽く息を吹きかけただけで、面白いぐらいの反応が返ってくる。
それを必死に我慢しながら会話を続けようとしている姿に、またきゅんとキてしまう。
「マスター、ちゅーしていいですかぁ?」
あたしってやっぱり、こういうトコつくづく悪魔だなぁって思う。
「ダメ!」
これにはマスター、電話口の相手へのフォローも忘れて全力否定。
無理もない。けど…えへへ。
「あッは…ごめ、蜜瑠ちゃ、また後で…ッ」
ちゅっと音を立てて綺麗に筋の走った背中にキスを繰り返していると、マスターは遂に電話を切ってしまった。
そして…
「…キュナ」
あらら、マスターちょっぴり怒っちゃってます?
だけどお耳まで真っ赤に染めて、その上そんなうるうるおめめじゃ怖くないですよ?
「ふふ、マスターかぁわいい」
マスターのでこピン(本気出すとほぼ凶器)を喰らう前に、羽を広げて飛び立つ。
急いで跳ね起きてあたしを追うマスターの腕に、あたしから飛び込むまでそう時間はないけれど。
少しだけ大胆になれた日
(だってマスター成分が足りなかったんだもん!)
※ほたるの本気でこピンは悶絶もの。勿論キュナには向けません。
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